地理的表示を積極活用 所得増大と産地強化へ JAグループ2015年6月8日
地理的表示法が6月1日に施行され、同日には砂丘らっきょう(JA鳥取いなば)、市田柿(JAみなみ信州)、夕張メロンなど19産品が同法に基づく登録商標申請を行った。JAグループは農業所得増大、産地強化につなげようとこの制度の活用を次期大会議案にも盛り込んでいく方針だ。
地理的表示(GI)保護制度とは、品質や社会的評価などの確立した特性と産地が結びついている産品について、その名称を知的財産として保護する制度。わが国は昨年6月に「特定農産物等の名称の保護に関する法律」(地理的表示法)が成立し、この6月1日に施行された。
この制度は▽地理的表示を生産地や品質などの基準とともに登録、▽基準を満たすものに地理的表示の使用を認め「統一マーク」を付す、▽不正な地理的表示の使用は行政が取り締まり、▽生産者は登録された団体への加入で「地理的表示」を使用できる、というもの。 農水省は地理的表示法に基づき登録された農林水産物に付すことになる登録標章「GIマーク」を決定し4月1日に公表している。
品質について国が保証し、不正表示については国が取り締まるこの制度についてJA全中の萬歳章会長は「国が関与して地域の産品や産地の風土を活かして付加価値を高めていくことは大変評価できる。農業所得の増大や地域の活性化をはかっていくためには地域の農畜産物を知的財産として打ち出していくことが非常に重要ではないかと考えている」と評価している。
JAグループは「JAグループ地理的表示保護制度研究会」を昨年設置し、今年5月には「JAグループ地理的表示保護制度活用マニュアル」をとりまとめた。
今後はこのマニュアルを使用して説明会や研修会を通じて制度の普及・推進を図る。また、「次期JA全国大会議案にこの制度の活用を盛り込むとともに同制度を活用して農家の所得向上、産地強化、輸出拡大などに積極的に取り組んでいきたい」(萬歳会長)としている。
同時に申請後の公示・審査期間が半年以上時間がかかると想定されることから、消費者向けに店頭で普及できる説明資材も年内をめどに作成し、地理的表示法についての周知をはかっていく。
また、地理的表示保護制度は“先登録主義”であることから、系統外の企業・団体が先んじて申請・登録した場合は、JAで品質基準や生産・加工を主体的に管理することができなくなるため、登録産品の増加に向け全国で“申請候補品”の掘り起こしを進めていく。あわせてJAグループ全国段階は登録産品のその後の市場価格動向などをマーケティング分析し、登録産品の増加推進に役立てていく。
同制度は国が高品質を保証する唯一の認証制度であり、海外でも共通して表示できる初めての仕組みだが、この点の周知には行政の支援が欠かせないことから政府等への働きかけを行うことや必要な予算確保についても求めていく。
登録産品を海外でも保護していくためEPA(経済連携協定)等を通じて相手国での保護をすすめると同時に、国際協定の合意内容によって影響を受ける可能性もあることからEU、米国の主張を中心に国際情勢についても情報収集をすすめることにしている
【6月1日に申請された産品】
▽夕張メロン(北海道)
▽知覧茶(鹿児島県)
▽砂丘らっきょう(生)と(味付け)(鳥取県)
▽江戸崎かぼちゃ(茨城県)
▽鹿児島の壺造り黒酢
▽つくば銀杏(茨城県)
▽八丁味噌(愛知県)
▽くまもと県産い草、畳表(熊本県)
▽伊予生糸(愛媛県)
▽八女伝統本玉露(福岡県)
▽三輪素麺(奈良県)
▽市田柿(長野県)
▽神戸ビーフ(兵庫県)
▽但馬牛(兵庫県)
▽あおもりカシス(青森県)
▽生牧草(千葉県)
▽出雲の菜種油(島根県)。
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