生産資材 業界に競争求める-規制改革会議2016年4月1日
政府の産業競争力会議と規制改革会議農業WGの合同会合が3月30日に開かれた。テーマは生産資材価格形成の仕組みの見直しと流通・加工の業界構造など。JA全農などからヒアリングし意見交換を行った。
JA全農は成清一臣理事長、岩城晴哉常務、山﨑周二常務が出席した。
肥料原料の海外からの安定調達のための事業展開とともに、土壌分析に基づく施肥量低減の徹底、施肥コスト抑制銘柄の開発普及などの取り組みを紹介した。農薬ではジェネリック農薬の取り扱い拡大や、農機では所有から共同利用の転換、低コストモデル農機の開発などでコスト低減に取り組んでいることも報告した。
また、JAとホームセンターとの肥料・農薬の価格について肥料では一部でJAが高いものがあるものの、農薬では約8割がJAが安いとの調査結果を示したほか、肥料の価格差については、JAとホームセンターの販売品との規格の差を考慮すべきだと指摘した。
農産物の販売面では園芸事業の取り組みを例に、現在は市場出荷でも相対取引による価格形成を行っていることや、多様化する実需者ニーズに対応した産地づくり、JA全農青果センターを活用した直販事業の取り組み拡大などを紹介した。
委員からは「単協は生産者のほうを向かず全農のエージェントになっているのではないか」などと指摘があったが、これに対して「まったく逆。単協のニーズに応えられなければ単協は全農以外を選択する。単協の要望なしに全農が上から何か事業を進めることはない」と強調した。
そのほか「ICTの活用は農業に非常に有用。全農も視点を大きくもって改革を。農業者に選択の自由を与えることが大事。オプションを増すためにも価格情報の開示が大事だ」との意見や「意欲ある農家は農協ではない独自ルートの開発に努力していることの重さを理解していないのではないか」などの意見もあった。
これに対して全農は生産者やJAのオプションを増やすための事業改革として、多様な取り組みを展開してきている現状や、情報提供も価格だけでなく、それぞれの生産資材の質や規格もあわせて比較する必要があることを指摘した。
また、JA段階の価格は予約や大口取引などで事実上の値引きをしている実態にあり、JAも実質価格を生産者に伝える努力が必要なことも指摘した。
そのほか公正取引委員会も出席し、独禁法違反行為の未然防止のため農協ガイドラインを作成していることや、今後は農業者、商系業者等から独占禁止法違反被疑行為に関する情報提供受付窓口と効率的に対処するため、農業分野タスクフォースを設置する方針を明らかにした。
そのほか委員からは「農業者の所得を増やすことが目標。何が必要かしっかり議論していかなければならない」、「農業者にコスト削減を迫るばかりではなく、周辺産業の競争力をチェックすることが求められている。関連業界には経営統合も含めて考える必要があるのではないか」、「全農の改革には足りないところがあるのではないか。価格競争だけではなくさらに付加価値をつけることによって、高い価格で農産品を売っていく努力をすべきではないか」との指摘が出された。
(図)政府と自民党の農政関係の会議等の組織図(PDFはこちらから)
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