JA土佐あきが提訴-公取命令 承服できず2017年5月9日
長野組合長「関係者支援を」
高知県のJA土佐あきは5月8日、公正取引委員会からナスの共同販売に関して独占禁止法違反(第20条第2項)だとして3月29日に排除措置命令を受けた問題について、内容を承服できないとして東京地方裁判所に提訴したことを発表した。農協を含め協同組合に対する公取からの命令に不服だとして提訴するのは初めてのケースとなる。
公取がJA土佐あきに対して独禁法違反だとした行為はナスの共同販売。組合員に系統以外に出荷することを制限する条件をつけて販売受託をしていたという拘束条件付取引にあたるという内容だった。
しかし、出荷場の運営ルールや手数料などは生産者が自主的に組織した各支部園芸部が自ら決めた規約であり、支部園芸部組織の代表である齊藤仁信会長は本紙の取材に対し「集出荷場のルールはわれわれ農家が決定することであって土佐あき農協から支部園芸部に指揮命令を受けることはなく、まして土佐あき農協から系統外出荷することを制限されたことはない。遺憾だ」としており、JA土佐あきの長野隆代表理事組合長も「出荷先は生産者が選択してきた。JAが制限をするようなことはありません」と話していた。
このような自主的なルールを持つ生産者組織とJAが一体的に捉えられるなど、公取の認識には事実に反することもあるとの声も多く、命令を受けてからJAグループの共同販売に関わる問題だとして抗告訴訟を視野に命令書の精査を進めてきた。
その結果、「内容を慎重に検討した結果、やはり承服できないとの結論になった」として5月2日、東京地裁に提訴した。「今後は裁判所において当農協の主張を行ってまいります」としている。
独占禁止法は平成25年(2013年)の改正で審判手続きが廃止され、排除措置命令に不服のある者は裁判所に抗告訴訟を提起できることになった。改正前は公取に不服の申し立てをし、それを公取が審査する制度だった。しかし、経団連など財界からは同じ機関が2回判断するのは不公正、などの主張があり改正された。
今回のJA土佐あきの抗告訴訟は初めてのケースとなった。
長野組合長は発表した文書のなかで、組合員と関係者に対して「訴訟が終了するまでご支援を」と訴えている。
◆農協陣営 訴訟支援を
今回の提訴について協同組合と独禁法適用除外を研究してきた高瀬雅男福島大学名誉教授は「農協陣営として支援を」と指摘する。
◇ ◇
提訴は農協陣営、協同組合陣営として初めてのことなのでどう支援するか、大きな課題となる。
国民や高知県民も、公取の排除命令をマスコミが一方的に流したことで、同JAに問題があるというイメージを持っていると思う。裁判ではJA土佐あきとしてやむなく提訴したという理由と正当性を国民、県民に伝えていかなければならないと思う。また、それをふまえて農協陣営、協同組合陣営全体として支援していくことが大切ではないか。
この問題はアベノミクスの農協解体路線の上で公取が動き排除命令を出したと思う。今の政策と正面からぶつかる問題で、それを跳ね返していくためにも農協陣営の支援が必要だ。
(写真)全国一のナスの生産量を誇るJA土佐あきの出荷場。
(関連記事)
・【農協と独禁法】JA土佐あきに排除措置命令 (17.04.11)
・【独禁法違反は遺憾】生産者代表が表明 JA土佐あき (17.04.05)
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