香川の鳥インフル 欧州から渡り鳥で-農研機構2018年1月25日
1月11日に香川県で発生が確認された高病原性鳥インフルエンザの原因ウイルスは、昨年冬にヨーロッパで流行した型がシベリアに運ばれ、そこでユーラシアの野鳥に分布している型の一部遺伝子が混合したものであることを1月24日、農研機構が発表した。大陸を渡る野鳥が日本にもたらした原因ウイルスであり農研機構は「野鳥が運ぶ高病原性鳥インフルエンザウイルスが鶏舎内に侵入しないよう警戒が必要」と呼びかけている。
香川県で発生した高病原性鳥インフルエンザの原因ウイルス(香川株)はすでにH5N6亜型であることが明らかになっている。また、このウイルスは静脈内接種試験で鶏を24時間以内に殺す高い病原性も示したという。 今回は、この香川株の8本の遺伝子の断片(遺伝子分節)をこれまでに知られているA型インフルエンザウイルスと比較した。
その結果、8本のうち7本は昨年度ヨーロッパで流行したH5N6亜型に由来し、残る1本のNA型を決めるNA遺伝子はユーラシア大陸の野鳥に分布しているHxN6亜型(HxとはHA亜型が不明という意味)に由来していることが分かった。農研機構によると、2016-17年にヨーロッパで流行したH5N8亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスが渡り鳥の繁殖期に営巣地であるシベリアに運ばれ、そこでHxN6亜型鳥インフルエンザと一部遺伝子の混合が起きた株が生まれたとしている。これは遺伝子再集合と呼ばれ、由来が異なる2つのインフルエンザウイルスが、同一の細胞に感染した場合、細胞内で遺伝子の混合が起きる現象とされている。
こうして出現したウイルスが渡り鳥の越冬期に日本に運搬されたと考えられる。また、香川株は昨年12月にオランダでオオカモメから分離された株と99%以上の相同性を示したことから、シベリアからはオランダにも渡り鳥が運んだことが考えられるという。
◆国内には2種類
一方、昨年11月には島根県のコブハクチョウから同じくH5N6亜型が分離されているが、比較の結果、遺伝子的には近縁だが明確に区別が可能だといい、そのことからこの冬には国内には少なくとも2種類のH5N6亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスが侵入していることが考えられるという。
(関連記事)
・香川県の鳥インフル、擬似患畜と確認 殺処分へ(18.01.12)
・香川県で高病原性鳥インフル疑い例 11日再検査(18.01.11)
・食用卵および卵製品 台湾向け輸出を再開(18.01.10)
・米国ケンタッキー州からの家きん肉等禁輸を解除(17.08.28)
・米国ジョージア州 鳥インフルで家きん肉等輸入停止(17.03.28)
・デンマーク・スウェーデン 鳥インフルで家きん肉など輸入停止(16.11.28)
重要な記事
最新の記事
-
【現地レポート・JAの水田農業戦略】新たな輪作で活路(2)子実コーンの「先駆者」 JA古川2024年3月29日
-
「子ども世代に農業勧めたい」生産者の2割 所得向上が課題 農林中金調査2024年3月29日
-
東京・大阪で組合長らが 「夢大地かもと」スイカをPR JA鹿本2024年3月29日
-
全国から1,000名を超える農業の担い手が集う 「第26回全国農業担い手サミットinさが」開催 佐賀県2024年3月29日
-
家族みんなで夏の農業体験はじめよう 食農体験イベント「土袋でデコきゅうり」開催 JA兵庫六甲2024年3月29日
-
(377)食中毒1万人は多いか?【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年3月29日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第96回2024年3月29日
-
【人事異動】全国農業会議所(4月1日付)2024年3月29日
-
品種で異なるメロンの味わいを体験 自由が丘「一果房」で29日から 青木商店2024年3月29日
-
第160回勉強会「レジリエントな植物工場運営・発展に向けて~災害からの復旧・復興事例から学ぶ」開催 植物工場研究会2024年3月29日
-
創立55周年記念 ガーデニング用 殺虫・殺菌スプレーなど発売 住友化学園芸2024年3月29日
-
「核兵器禁止条約」参加求める26万の署名 藤沢市議会が意見を採択 パルシステム神奈川2024年3月29日
-
尾鷲伝統の味「尾鷲甘夏」出荷開始 JA伊勢2024年3月29日
-
令和6年能登半島地震 被災地農家を応援 JA全農石川へ寄付 KOMPEITO2024年3月29日
-
林木育種センター九州育種場 九州育種基本区の「スギエリートツリー特性表」公表 森林総研2024年3月29日
-
農業フランチャイズのクールコネクト シードラウンドで3200万円を調達2024年3月29日
-
鳥インフル 米メイン州からの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年3月29日
-
畜産施設の糞尿処理で悪臭対策 良質な堆肥化を促進 微生物製剤を開発 B・Jコーポレーション2024年3月29日
-
水田のスマート水管理で東大大学院農学生命科学研究科と共同研究開始 ほくつう2024年3月29日
-
神明HDと資本業務提携 米・青果流通加工プラットフォームを強化 エア・ウォーター2024年3月29日