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2018.11.19 
農地バンク運営見直しへ 農水省一覧へ

・JA・農委等の一体化で
・中間取りまとめ

 農林水産省は11月16日、農地中間管理事業の5年後見直し方向についてのとりまとめを自民党の農地政策検討委員会に示し了承された。農地バンク(農地中間管理機構)は、農地の集積・集約化に向けて市町村、農業委員会、JA、土地改良区など、農地の出し手と借り手をコーディネートする組織と一体となって推進する体制を構築するとした。

 農地バンクは、地域内に分散・錯綜している農地や耕作放棄地を借り受け、▽必要に応じて基盤整備を行い、▽借り受けている農地を管理し、▽まとまったかたちで担い手に転貸する、という仕組み。さらに再配分することで利用しやすく再配分して集約することもめざした。
 事業を開始した26年度以降、担い手への農地集積は増えて29年度は4.1万ha増加したが、そのうち農地バンク事業によるものは1.7万haにとどまっている。担い手への集積率は26年度の50.3%から29年度には55.2%となったが、5年後(2023年)に全耕地面積に占める担い手への利用面積シェアを8割にするという目標達成には、そもそも農地バンク設立当初から年間14万haづつの新規集積が必要となっていた。
 農林水産省がこれまで実績を分析したところ、集落営農の取り組みや水田率、基盤整備率が高い地域は集積が進んでいるものの、中山間地域を多く抱える近畿、中四国や、大都市圏を抱える関東、東海は進んでいない。中山間地域率が64.9%と全国一の中四国の集積率は27.4%となっている。
 今後さらに集積を進めるにあたって農水省は「農地の集積・集約化の前提となる地域内での話し合いが低調」であることや農地バンク事業について現場から事務手続きの簡素を求める声が多いことや、農地バンクが地域とのつながりが弱いことなどを課題として挙げた。
 見直しにあたっての論点整理では、農地の集積・集約化のためにもっとも重要なことは、「地域の信頼を得て地域の特性に応じて市町村、農業委員会、JA、土地改良区など地域における話し合いのコーディネーター役と的確に連携した活動を行うこと」と強調し、農地バンクは「これらの点で未だ十分とは言えない」と総括した。
 そのうえで、見直し方向では農地バンクに一本化させるのではなく、市町村や、JAが行っている農地集積円滑化事業などと「一体化」させる見直しを行うこととした。
 その前提となるのが地域での話し合い。担い手への農地集積を加速化させるため、今後、数年で「人・農地プラン」を見直す。とくに地域内の農地について耕作者の年代情報や、後継者の確保状況などを、個人名の記載までは求めないが、地域の現況を地図に落とし込んで把握し、それに基づき中心的経営体への農地の集約化の将来方針をプランに記載することを必須化する方針だ。
 そのためにコーディネーターを話し合いに積極的に参加させ、農業委員や農地利用最適化推進委員はその役割を法令で明確に定める。農地バンクの仕組みも簡素化し、農地の出し手から農地バンク、農地バンクから受け手への権利設定を一括して行うことができる仕組みを設ける。
 また中山間地域など担い手が不足している地域では、担い手を確保するための畑地化も含めた基盤整備の活用や、新規作物の導入など総合的な対応が必要だとして、それらの対策を講じたうえで農地バンクが積極的に協力する仕組みを検討する。
 農地利用集積円滑化団体については農地バンクに統合一体化するが、ブロックローテーションの取り組みや新規就農の促進など、農地利用で実績があるJAなどは、市町村が行ってきた農地の配分計画案の作成もできる仕組みも設ける。政府は関係法律を見直し次期通常国会に必要な法案を提出する。

 

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