輸出額4486億円 農畜産物はその28%2019年8月19日
19年上半期農林水産物・食品輸出実績
農林水産省は、2019年1月-6月(上半期)の農林水産物・食品の輸出実績をまとめた。

それによると、19年上半期の農林水産物・食品の輸出額は、4486億円で前年同期比2.9%増となっている。
国は2019年の目標額を1兆円としているが、12年以降の推移は図1のようになっている。今年12月までにこの目標が達成できるのか微妙だといえる。

上半期の品目別輸出額は図2の通りだが、もっとも多いのは、日本酒を含むアルコール飲料やソース混合調味料や清涼飲料水といった「加工食品」で1618憶3400万円、次いで前年同期に比べると減少しているが真珠(天然・養殖)、ホタテ貝(生鮮・冷蔵・冷凍等)やサバなどの「水産物(調整品除く)」が1114憶3100万円となっており、この2品目が1000億円を超えている。そして、たばこ、緑茶、花きの「その他農産物」が526憶6600万円、牛肉など畜産物を含む「畜産品」が327億4200万円、なまこ(調製)などの「水産調整品」が315憶3200万円、そしてコメ(援助米を除く)などの「穀物等」が217憶6500万円、丸太などの「林産物」が193憶1100万円、リンゴやイチゴ、長いもなどの「野菜・果実等」が173憶6700万円となっている。
安倍晋三首相は「農業は成長産業」であり、「農家所得を増やす」といい、その重要な戦略として「1兆円の輸出」を掲げているが、畜産品、穀物等、野菜・果実等にその他農産物を加えた上半期の輸出額は1245憶4000万円で輸出額の27.8%に過ぎない。農産物の輸出は増えているが、一部の生産者を除いて、多くの生産者はまだ輸出による「所得増加」の恩恵は受けていないというのが実情だといえる。

図3は主な輸出先に見た輸出額と主な輸出品目だが、これをみると米国の第3位を除けば、香港・中国・台湾の中華圏とタイ・ベトナム・シンガポールの東南アジア諸国と韓国が輸出の中心だ。
そしてこれらの国に輸出している品目は、アルコール飲料やソース混合調味料、ホタテなどの水産物が中心で、農畜産物といえるのは2位中国の品目第3位の「植木」。4位台湾の同2位「リンゴ」、7位ベトナムの同1位「粉乳」(前年同期比32.6%増)、8位シンガポールの同2位「牛肉」、同3位「小麦粉」しかないのが実態だ。
こうした現実をどう評価していくのかは、今後の課題ではないだろうか。
(関連記事)
・農産物輸出8139億円に、だが実態は? 2018年1月~11月(19.01.24)
・農産物輸出 農水省に「司令塔」新設ー検疫などの国際交渉を一元化(19.06.05)
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