生乳生産 3年連続増産の見込み-Jミルク2021年2月1日
Jミルクが1月29日に発表した2021(令和3)年度の生乳の需給見通しによると全国では3年連続の増産の見込みとなっている。
2021(令和3)年度の生乳生産は全国で750万6000tと前年比100.9%の見通しとなった。北海道は424万6000tで同102.1%、都府県は325万9000tで同99.4%の見通しとなった。
全国では3年連続、北海道は5年連続の増産となった。都府県は前年比減だが、2020(令和2)年度が前年比100.3%と増産見込みで、それを若干下回る見通しとなった。
ただ、この見通しには国で措置された北海道から都府県へ牛を移動させる「生産基盤拡大加速化事業」による効果を加味していないため、Jミルクによれば今後政策効果が出てくれば都府県の生産量が上振れすることもあるとしている。
2歳以上の頭数は北海道では約1万2000頭増え来年3月末には49万9000頭となる見通し。都府県では今年度と同水準で推移し39万3000頭となる見通し。搾乳の主力となる2歳~4歳の頭数は北海道・都府県ともに今年度を上回って推移する見通しだ。
「牛乳」の生産量は322万4000klで前年比101.0%。このうち学校給食向けは35万2000klで前年比108%の見通し。昨年3月の一斉休校による供給減からの反動による。また、業務用は29万1000klの103.9%で若干の回復を見込んだ。
生乳の用途別処理量のうち、脱脂粉乳、バターなど乳製品向けは生乳供給量746万1000tの45%を占める335万4000tで同101.3%となる見通し。乳製品向けのうち、チーズ向けは41万1000tで同100.4%、生クリーム向けは123万2000tで同102.6%となる見通しだ。生乳生産の増産にともなって飲用向けが堅調に推移しても、乳製品向けは前年を上回る見通しとなっている。
全国では増産の見通しだが、都府県の生乳生産が増産に転じないため、北海道から移入量は7年連続で前年を上回る見通しとなっている。都府県の生乳供給量は323万8000tで前年比99.4%。一方、飲用等向け処理量は354万1000tで同100.7%となる見通し。その結果、北海道からの移入量は56万1000tで同104.7%となる見通しだ。全国的には増産となるものの、北海道と都府県の生産ギャップがさらに広がる見通しにある。
Jミルクはコロナ禍で需要動向が非常に読みにくい状況にあるとして、とくに業務用については引き続き低調に推移する可能性が高く、家庭内の巣篭り需要の動向も不透明だとする。さらに緊急事態宣言が再発令され期間延長の可能性もある。
こうしたなか学校が春休みを迎える年度末や、生乳生産量が季節的に最大となる4~5月にかけて「生乳需給が緩和する可能性が高い」と見込む。そのため処理不可能乳の発生を回避するため、製品の生乳使用率の引き上げや、乳製品処理の最大化などなど取り組みが重要だと強調している。
とくに3月は脱脂粉乳、バター向け供給量の見通しが非常に高いことから、全国的に「乳製品処理を最大化することが必須」と危機感を発信した。
そのうえで都府県も含めて生産基盤を維持・強化していくには、家庭内での牛乳乳製品の利用拡大を中心に生乳需要の拡大を図っていくことが基本の取り組みとしている。
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