農業総産出額 対前年1.8%減 8兆8900億円-2019年2021年3月18日
2019(令和元)年の農業総産出額を3月12日に農水省が発表した。前年にくらべて1620億円減少し8兆8938億円(対前年増減比1.8%減)となった。
農業総産出額は米、野菜、肉用牛で需要に応じた生産の取り組みが進められてきたことをおもな要因に増加傾向で推移してきた。2016(平成28)年には16年ぶりに9兆円台となり、昨年は約9兆1000億円だった。
2019(令和元)年は野菜、鶏卵などで生産量が増加し価格低下したことから減少した。
米は主食用米の需要が減少するなか、主食用以外への転換など、需要に応じた生産に向けた取り組みが進められてきたことから、主食用米の価格が回復しており米の産出額は1兆7426億円と5年連続で増加した。前年にくらべ10億円増(0.1%)。
北海道や東北、北陸地方で作柄が良好となったが、四国、九州地方で大雨や病害虫などの影響で作柄が悪化し全国の生産量は減少した。そのために相対取引価格が前年の1万5688円/60kgから1万5716年同と上昇したことが産出額増加となった。
野菜は前年にくらべ1697億円減少し、2兆1515億円(同7.3%減)となった。北海道で天候が良くトマト、たまねぎ、にんじんなどの生産量が増えて価格が低下したことや、冬が温暖でねぎ、キャベツ、だいこんな葉茎菜類や根菜類の生育がよく価格が低く推移したことなどが影響した。
果実は前年にくらべ7億円減少し8399億円(同0.1%減)となった。ぶどうの優良品種の生産が拡大したことや、りんごで台風による落果、少雨による小玉傾向で生産量が減少して価格が上昇したが、一方でなしが自然災害で生産減となり、みかんでは天候不順で品質が低下し価格が低く推移したことが影響した。
生乳は前年にくらべ154億円増加し7628億円(同2.1%増)となった。牛乳向けの生乳の取引価格の引き上げによる総合乳価の上昇と、性判別精液を活用した後継雌牛の確保で生乳生産量が増えたことが影響した。
肉用牛は和牛の生産頭数が増えたことや、交雑牛の堅調な需要で価格が上昇したことなどの要因で、前年にくらべ261億円増加し、7880億円(同3.4%)となった。
豚は前年の猛暑による繁殖不良の影響で5~6月に出荷頭数が減少したが、7月以降は出荷が回復したことに加え、家計需要により価格が堅調に推移したため前年にくらべ2億円増加し、6064億円となった。
鶏卵は生産量が増加したことから需給が緩和し9月までの価格が前年を下回ったことから、前年にくらべて263億円減少し、4549億円(同5.5%減)となった。
ブロイラーは旺盛な鶏肉需要を背景に生産量が過去最高を記録した前年よりさらに増え、需給が緩和したことから価格が下がり、前年にくらべて98億円減少し、3510億円(同2.7%減)となった。
農業生産所得は前年にくらべ1658億円減少し、3兆3215億円(同4.8%減)となった。生産基盤の強化で生乳や肉用牛の産出額が増加したが、良好な天候で生産が増えた野菜や、堅調な需要を背景に生産を増やした鶏卵で価格が低下したことから農業総産出額が減少したことが影響した。
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