食料安保 7月から「早期注意段階」を適用-農水省2021年7月7日
農林水産省は新型コロナウイルスのパンデミックを受けて、食料供給を脅かす新たなリスクに対応するため、7月1日付けで「緊急事態食料安全保障指針」を改正した。改正で「早期注意段階」を新設し、1日にこれを適用し早期の警戒監視を強化している。
新型コロナウイルス感染症が拡大した昨年2月以降、学校の休校や外出自粛の影響が顕在化し、いわゆる巣ごもり需要によって家庭でパスタなど小麦製品製品の需要が増加した。
農林水産省は今年2月から4月にかけて生産者や消費者、食品産業など関係者からコロナ禍での食料安保への懸念に関する意見交換会を実施したが、飼料や種苗、農薬、肥料といった生産資材に大きな影響はなかったものの、パスタ需要の急増に見られたように、業務用から家庭用への需要の急激な変化に製造と流通が一時的に対応できなかったことが指摘された。供給が追いつかず一部商品で品薄や欠品、買占めや転売も発生した。
農水省は消費者に落ち着いた購買行動を呼びかける一方、食品メーカーに安定供給を要請し、ホームページで情報発信した。その後、5月中旬以降は品薄感は徐々に解消した。
このように食料供給全体に大きな影響はなかったものの、フードサプライチェーンへの影響は発生した。
農水省は新型コロナウイルスによる影響や、最近の国内外の食料需給の変化などもふまえて食料安全保障への対応を検討する有識者会合、「食料安全保障アドバイザリーボード」を2月に設置し、食料安全保障指針の見直しなどを議論してきた。
今回明らかになった課題は、昨年2月から4月にかけて業務用から家庭用へと重要の急激な変化でサプライチェーンに影響は出ていたものの、緊急事態食料安全保障指針で定める「レベル0」発動の状況には至らなかったこと。レベル0は特定の品目の供給が平時を2割以上下回る事態に発生するおそれがある場合に発動される。その事態には該当しなかったが、情報収集や発信の強化を国として行った。
これをふまえ、指針を改正し「早期注意段階」を新設し、早期の警戒監視を強化することにした。情報の収集と分析を強化するとともに、関連業界や消費者などへの情報発信を実施していく。
そのため平素から効率的な情報収集・発信のための省内体制を強化する。
「早期注意段階」は指針改正と同時に適用されている。理由は▽大豆やトウモロコシなど主要輸入穀物の国際価格の上昇や海外運賃の上昇、▽世界的なコンテナ不足と偏在による国際的な物流の遅れと、その正常化に時間がかかると見込まれるため。
また、今回の指針見直しに関する関連事業との意見交換では、10年前の東日本大震災をきっかけに事業継続計画(BCP)を策定していたことや、不測時の事業継続の観点から、原材料の調達先を多元化したり生産拠点を分散させたという指摘もあった。これをふまえ各事業者が事業継続計画を策定し、状況に応じてそれを見直していくことを促進することも指針に盛り込んだ。
有識者による食料安全保障アドバイザリーボードは今後の食料安保対策の強化に向け議論を継続する。
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