複数の集落機能を補完 農村RMOづくりを推進2022年2月7日
わが国の山間部では総戸数9戸以下の小規模集落が約2割を占め、単独では農地の維持・管理と農業生産活動の継続が難しくなることが懸念される。そのため今後の農村政策では、複数集落を対象とした農地の保全や生活支援活動、地域資源を活用して経済活動を行っていく組織として、農村RMO(Region Manegement Organization:農村型地域運営組織) の形成を支援していく。
中山間地域では、人口の減少で農業生産だけでななく、農地や水路といった地域資源の保全や、買い物や子育てなど集落維持に必要な機能が弱体化している。
そのため農家と非農家が一体となって、生産、生活扶助、資源管理に取り組み、地域コミュニティの機能を維持・強化することが必要になっており、こうした集落機能を補完する地域運営組織が必要になっている。
この組織は地域で暮らす人々が中心になって地域課題の解決に向けた取り組みを持続的に実践する。
イメージとしては中山間地域直接支払いのための集落協定組織や、集落営農・法人など農業を母体として組織と、自治会・町内会、PTA、社会福祉協議会が連携して協議会を設立、農用地の保全と地域資源の活用、農村での生活支援に関する将来ビジョンを策定し、ビジョンに基づいて事業を実施していく。
ただ、そもそも人が少なくさまざまな活動が縮小しているため、農水省は小さな成功体験や共通体験を積み重ねていき、住民の主体性と共通認識を生み出す、まずは「寄り添い型の支援」によって組織をつくることが必要だという。
中山間地域直接支払い制度の交付面積は令和2年度に2万6000ha減少した。理由は高齢化・担い手不足で10ha未満の小規模協定が廃止されたため。その一方、高齢者の交流や声かけ・見守り活動など行う地域運営組織は2015年の1680から2019年には5236と増えている。ただし、農に関する活動はほとんどない。
そのため今回、農水省として農村RMOづくりを促進するのは、生活支援活動などを主体とする組織を中山間地域保全など農業生産活動を行う主体が巻き込みながら、地域内で地域資源を活かした経済活動を展開していく姿をめざす。
地域運営組織が作られる過程は、中山間地域の集落協定が、地域の一般的な組織と連携する道筋や農業生産活動を中心とした組織が活動内容を生活支援や、農家レストランなど経済活動などまで発展させることも想定される。
福島県猪苗代町見祢地区では、地域の担い手がリーダーとなって集落営農組織を立ち上げ、農家レストラン運営で所得向上を図るとともに、生活支援活動も実施。複数の営農組合、農事組合法人など地域内組織を束ねる「見祢結乃村未来協議会」を平成29年に設立した。鳥獣害対策や、福祉ワゴンの運行、高齢者見守りなどの福祉活動も拡大する予定だという。
農水省は令和4年度予算で「農村RMO形成推進事業」を実施する。地域運営組織づくりに必要な調査や実証事業などの取り組みを支援するほか、中間支援組織を育成するためワークショップや研修会、先進地視察なども支援する。
農林水産省は農村RMOを推進するため3月10日に「地域で支え合うむらづくり 農村RMO推進シンポジウム」をオンラインで開催する。
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