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豚熱対策 中四国・九州で野生イノシシのサーベイランス強化 農水省2022年3月30日

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農林水産省は3月29日、野生イノシシを介した豚熱ウイルスの拡散防止対策などについて、専門家による野生イノシシ豚熱対策検討会を開き、今後の対応方向を決めた。

豚熱は2018(平成30)年に岐阜県で26年ぶりに発生した。その後、各農場での飼養衛生管理の徹底に取り組むとともに、野生イノシシを介したウイルスの拡散を防止するためサーベイランスによる状況の把握と、経口ワクチンの散布を実施してきた。経口ワクチンは令和3年度末までに28都府県で約153万個を散布したが、野生イノシシの豚熱発生は26都府県で確認されている。

とくにこの3月には日本最西端の発生確認地域である兵庫県から280kmも離れた山口県と広島県で確認され、これまで豚熱の発生がない九州への拡大リスクが高まっている。
検討会では、山口県の野生イノシシで確認された豚熱ウイルスは、紀伊半島東部で確認されているウイルスと遺伝的に近縁であることが確認されたことが報告された。この結果から、遠方へのウイルス拡大は野生イノシシの間で広まっていくだけではなく、狩猟者や旅行者など人やモノを介した運搬による拡大も疑われるとして、とくに県内外を行き来する捕獲・狩猟従事者には交差汚染防止の周知徹底を図る。

また、登山者や、山林に立ち入る人に対して、養豚場などに立ち入らないことや、下山時や帰宅時の洗浄や消毒などについて都道府県と連携してポスター掲示などで注意を喚起していく。

サーベイランスについては、山陽地方、四国地方、九州地方で都道府県と連携して検査数を迅速に増加させる。検査は今年度から導入されたリアルタイムPCRも活用、検査結果についてウェブサイトで知らせるなど、生産者に豚熱発生状況を分かりやすく情報発信することの方針に掲げた。

ワクチンについては、今後散布対象地域が広がる懸念もあることから、地上散布の実証結果などをもとに、効果的効率的な散布体制を構築するとしている。

また、検討会では国産ワクチンの開発についても推進が必要との意見が出された。

アフリカ豚熱は国内で確認されていない。検討会では万一侵入した場合、早期発見と初動対応が非常に重要になることを強調、国と県の関係部局の連携を強化し「発生時の初動対応について、演習などを実施して確実に整備しておくこと」も求めた。

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