食品ロス量 推計開始以来最小の522万t 世界の援助よりはなお100万t多く 農水省2022年6月10日
農林水産省と環境省は6月9日、2020(令和2)年度の食品ロス量を公表した。コロナ禍での需要減も影響して推計開始以来、最小の522万tとなった。ただ、国連世界食糧計画(WFP)が世界各国で援助する420万t(2020年)より100万tも多い。

食品ロスとは、まだ食べられるにも関わらず捨てられる食品のこと。
2020年度の食品ロス量の推計値は522万tとなりう前年度より48万t減少(▲8%)した。
このうち事業系食品ロス量は275万tで前年度より34万t減少(▲11%)となった。
食品ロスは食品リサイクル法に基づいて事業者から報告されたデータのうち可食部を推計して算定している。
2020年度は外食産業が前年度より21万t減の81万t(▲21%)と業種別ではもっとも削減量が多かった。2012年の推計開始以降、最小となった。
農林水産省によるとコロナ禍で外食産業の営業自粛などで需要減がロス量の減少につながったものの、小売での値引き販売や需要予測の精緻化による無駄にならない仕入れなど企業努力も大きく進んだとしている。
経済活動の回復による今後の取り組みを注視する必要があるが、農水省は優良事例の普及や、需要予測の精緻化、納品期限の緩和を普及していくほか、178団体が取り組んでいるフードバンク活動も推進していきたいとしている。
一方、家庭からの食品ロス量は247万tで前年度より14万t減(▲5%)となった。家庭の食品ロスについては市町村に対する実態調査をもとに環境省が推計している。家庭からのロスも推計開始以降、最小となった。

環境省によるとコロナ禍で在宅時間が増えて家族がともに食事をする機会が多くなったことで食への関心が高まったことも影響したのではないかという。
食品ロス量について政府は2030年度までに2000年比で半減となる489万tまで削減する目標を掲げており、6年連続で前年より減少した。とはいえ、522万tの食品ロス量はWFPが世界各国に食糧援助する420万tより100万tも多い。国内では7人に1人が生活困窮者がいるなか、これだけの食品ロスが出ているということになる。
消費者庁は食品ロス削減はSDGsのターゲットの1つであり、物価高騰で食料問題が社会的課題となっているなか「国民運動としてロス削減に取り組んでいきたい」と話している。
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