適正な価格形成とスマート農業振興、不測時対応を法制化 新たな農政展開の方向を決定 政府2023年6月2日
政府は6月2日、食料安定供給・農林水産業基盤強化本部を開き、食料・農業・農村政策の新たな展開方向を決めた。岸田首相は野村農相に2024年の通常国会への提出に向け、基本法改正案の検討作業を加速するよう指示したほか、今年度内をめどに施策の実施に向けた工程表のとりまとめも指示した。新たな展開方向に基づき、適正な価格形成のための仕組みとスマート農業振興、不測時の政府体制の3つについて法制化を進める。
岸田首相は会合で「平時からの国民一人一人の食料安全保障の確立、環境等に配慮した持続可能な農業・食品産業への転換、人口減少のなかでも持続可能で強固な食料供給基盤の確立の3つを柱に農政の転換を進めていくこととする」と今後の方向を示した。
また、本部では、食料需給がひっ迫する恐れがある場合など、不測の事態となった場合に、総理大臣を本部長に政府全体で対応するための政府本部を立ち上げる仕組みを構築することが了解された。
これを受けて農水省は農林水産省食料安定供給基盤強化本部を開き、野村農相はこれを踏まえ野村農相は、▽基本法改正案の法制化に向けた作業の加速化、▽新たな展開方向で示された方向性について各部局での法制度見直しや、来年度の予算要求、税制要求等を含めた施策の具体化、施策実施に向けた工程表のとりまとめ、▽新たな展開方向について国民への周知と、農政審の中間とりまとめへの国民各層からの幅広く意見聴取の3点を指示、「私も先頭に立って努めていく。職員各位の尽力をお願いしたい」と話した。
新たな農政展開の柱は①平時からの国民一人一人の食料安全保障の確立、②環境等に配慮した持続可能な農業・食品産業への転換、③人口減少下でも持続可能で強固な食料供給基盤の確立の3つ。
食料安全保障の強化に向けて、基本計画を見直し平時から食料安保の状況を評価する新たな仕組みに転換する。また、主食用米からの作付け転換を進め、需要のある麦、大豆、業務用野菜、飼料、米粉拡大などと肥料の国産化も進める。
適正な価格形成に向けて食料システムの各段階の関係者が協議できる場を創設する。
持続可能な農業への転換ではみどり戦略法に基づく有機農業の拡大とともに、最低限行うべき環境負荷低減の取り組みを明かにし、各種の支援が環境に負荷を与えることがないよう配慮することを原則とする。
食料供給基盤の強化に向けては、スマート農業振興の法制化や、地域で受け皿となる経営体とともに、それをデジタル技術などでサポートするJAなどのサービス事業体も多様な農業人材と位置づけて育成・確保していく。
また、「地域計画」の策定を徹底することを強調し、地域内の将来の農地利用姿を明確にしたうえで、多様な農業人材が意欲的な取り組みを推進することも重視する。
そのほか経営安定対策の充実、農村の活性化なども盛り込まれており、自民党が岸田首相に提出した提言が反映された。
この農政の新たな展開方向について農水省は、基本的施策の追加や見直しが必要になっていることについて整理、今後、必要な法制化や予算確保など具体化を進める基本方針と位置づけるとともに、基本法自体の見直しも、この展開方向に即して検討を深化させると位置づけている。
一方、農政審基本法検証部会は5月29日に中間とりまとめを決めて農相に提出したが、新たな展開方向は中間とりまとめをふまえたものと農水省は説明、さらに9月に予定されている審議会の最終答申も今後の施策検討に反映するとしている。
なお、基本計画が現行基本法と同じ概ね5年で見直しがなされる場合は、2024年度中(2025年3月まで)に新たな基本計画が策定されることになる。
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