農政:JAは地域の生命線 国の力は地方にあり 農業新時代は協同の力で
【JA改革の本質を探る】現場で考えるJA改革-ガバナンスの再構築-正・准組合員を区別せず(下)2016年9月27日
「地域」に根ざす存在をアピール
宮永均
JAはだの(神奈川県)専務理事
◆准組、市民ら農の担い手に
准組合員利用規制の対応では、地域農業資源を准組合員や市民のコモンズとして捉え、荒廃農地等をJAが借り受け、関心がある准組合員や市民に市民農園として活用してもらう「さわやか農園」や、関心のある人向けにJAはだのと秦野市が共同で運営する「はだの都市農業支援センター」が開設するはだの市民農業塾の新規就農コースをさらに充実強化していきたいと取り組んでいる。どちらも新たな農業の担い手になっていただくと同時に組合員となり、総会への出席をはじめ座談会や各種イベント等に積極的に参加し、正・准組合員が一体となって活動する協同組合運営に関っていただくものだ。
このように、農業者以外の者が野菜や花を栽培して、自然にふれあうとともに農業に対する理解を深めることを目的に、地域住民に向けた農にかかる取り組みを積極的にすすめ、新たな地域農業の担い手としての役割発揮と組織の一員として農業者・正組合員に理解を促したいと考える。要するに、准組合員規制対応は、正組合員が准組合員を農業協同組合組織の一員として必要であると言っていただける相互理解に基づくJAはだのメンバーシップの確立である。
1982年1月に協同組合研究者や全国の組合長有志により開催された「農協の准組合員対策討論会」に出席した当時のJAはだの組合長は、「准組合員対策というのはそのまま正組合員対策であって、正とか准とか区別すること自体に問題がある。協同活動の中にどのように組み込んでいくかが大切だ。JA全中の対応策に書かれているとおり事業利用のみを接点とする対応にとどまることなく、運営参画あるいは意思反映の面で、准組合員に対して具体的に対応していくことが求められているというのは同感で、その方向でやっていきたい」と意見を述べている。
◆地域に必要な組織づくりを
以降、JAはだのはJA全中の准組合員を含む組織運営方針に沿って、正・准組合員を区別しない対応として、正・准組合員からの賦課金徴収、生産組合への准組合員加入、総会、春・秋座談会、組合員教育事業への参加、組合員全戸訪問の対応、機関紙「JAはだの」配布による広報活動の徹底等が今日の組織運営に受け継がれている。
このJA改革は、改正農協法や改正された農業協同組合の総合的監督指針に基づいた自己改革を進めなければならないが、地域に根ざした協同組合として価値ある存在をアピールし、組合員とのコミュニケーションの再構築により、准組合員を含む組合員や地域から必要とされる組織づくりをすすめることが戦略的課題といえる。今、危機を救うのは全国JA・JAグループが一致団結して大運動する以外に、未来永劫JA組織を維持発展させることはできないと思う。
・現場で考えるJA改革-ガバナンスの再構築- (上) (下)
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