農政:JAは地域の生命線 国の力は地方にあり 農業新時代は協同の力で
【対談】JAふくしま未来 × 福島市 震災克服 未来につなぐ(上)2016年10月14日
「農家の企業化」推進加工・製造業と連携
福島市長・小林香氏
JAふくしま未来代表理事組合長・菅野孝志氏
東日本大震災と原発事故から5年半が経過した。被災地では復興に向けて懸命な努力が続いてきたが、福島県は原発事故による風評の影響がいまだ残る。ただ、現地では苦難を乗り越え、次世代に引き継ぐ新たな農業と地域づくりに向けた模索も始まっている。その取り組みを福島市の小林香市長とJAふくしま未来の菅野孝志代表理事組合長に話し合ってもらった。司会は小山良太福島大学教授。
――今後の農業・農村振興は地域の自治体とJAがタッグを組むことが大事になっていると思います。そのなかで震災、原発事故から5年半を迎えました。この間を振り返っていただけますか。
小林 市長就任は約3年前です。まだ震災直後という雰囲気が強かったわけですが、5年半経過し、やはり雰囲気は変わりつつあります。
ただ、今回の原発事故は、日本国内では、例のないものであります。
まずは放射性物質濃度がかなり高い品目もありましたから、それを何とかしなければとみんなが懸命に努力されました。そのときJAの果たした役割はとても大きかったと思っています。たとえば米については放射性物質を吸収しないようカリウムの散布を中心に取り組み、それが確かな成果を出し、農産物の安全性は確保されました。
ただ、一方で農家のみなさんの農業離れに拍車をかけることにもなったと思います。もともと高齢化や担い手不足の問題があったわけですが、そこに農作物価格低下が加わり農業をやめてしまい、農家が連携して支えていた農村社会の維持が難しくなっている地域もあるのではと思います。
菅野 われわれの判断はここで農業をやめてしまったら未来に続かないのではないか、ということでした。とくに福島は果樹地帯なので、1年やめてしまったら桃もリンゴも駄目になってしまうという懸念がありました。先代がつくってきたこの福島の農業を未来につなぐためにはどんなことがあっても継続するという判断を、行政よりも早くしたということです。生産を続けようとの訴えに3200人が集まりました。
ただ、農産物に放射性物資が移行することも分かり、基準値を超える農産物も出ました。しかし、それは作ったからこそ分かったことです。
農家にも最初は果樹の樹体の洗浄など対策になるのか、という声もありましたが、何回も議論して納得してもらいました。
現場では高齢の方のなかにはもうやめるという人もいましたが、一方、若い世代が、そんなことを言わないでほしい、ここでやめたら続かなくなってしまうと言って助けるなど、農家同士がお互いの関係をもう一回作り直さなければこの難局は乗り切れないという気持ちを呼び起こしたと思います。
農家にとって農業とは単にお金を得る手段ではなく、やはりこの福島の農業を次世代に渡していくため、今この瞬間、自分が農地をお預かりしているんだ、だから続けなければという思いを感じることができました。
――あのときJAがとにかく作ろう、と決断して生産者に呼びかけたのはかなり勇気がいることだったろうと思います。また、いち早くチェルノブイリを視察して土壌スクリーニングにJAが先行して取り組みました。
◆ ◇
小林 これまでに経験したことのない深刻な異常事態であり、既存の枠にとらわれていたのでは対応できなかった。その意味でJAの取り組みには敬服しており、今後もどんどん前向きな対応をしていただきたいと思います。
菅野 がんばって生産を続けようという人が出てきたからこそ、それがモデルとなって行政からも認定を受け、放射性物質の具体的な調査や、どういう対策をすれば次の段階に進めるのかも考えることができて、営農再開も早まったと思います。
(写真)右から小林市長、司会の小山教授、菅野組合長
・【対談】JAふくしま未来 × 福島市 震災克服 未来につなぐ (上) (下)
・【現地ルポ】福島市(福島県)土壌マップが"道標" 営農継続の原動力
重要な記事
最新の記事
-
【特殊報】シネラリアにキク茎えそウイルス 発生を初めて確認 神奈川県2026年3月24日 -
加工原料米の適正価格を示すことは出来るのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2026年3月24日 -
生命・建物更生共済の仕組改訂 金利上昇に対応、ニーズに即した保障を提供 JA共済連2026年3月24日 -
日本バイオスティミュラント協議会の講演会 エビデンス示し普及を加速 グローバル化も視野2026年3月24日 -
下落傾向くっきり スーパー米価、半年ぶり3000円台に 止まらぬ「損切り」、小売に波及2026年3月24日 -
鉄道でつなぐ「#TABICHU(旅とチューハイ)和梨」数量限定で発売 JA全農2026年3月24日 -
日本の食と北海道農業の未来を考える特別授業「ホクレン・ハイスクール・キャラバン」開催2026年3月24日 -
茶園の最低温度をピンポイント予測 スマホで確認できるシステム 埼玉県と開発 農研機構2026年3月24日 -
GREEN×EXPO開催記念 寄付金付き特殊切手を期間限定販売 日本郵便2026年3月24日 -
GREEN×EXPO前売り入場チケット販売開始 記念チケットも販売へ 2027年国際園芸博覧会協会2026年3月24日 -
カールおじさんの「おらが村」モチーフに 明治HDがGREEN×EXPO出店2026年3月24日 -
第10回ものづくり日本大賞 中国経済産業局長賞を受賞 サタケ2026年3月24日 -
農ガチャ初登場 野菜詰め放題も「柏市公設市場一般開放デー」開催 千葉県柏市2026年3月24日 -
渡り鳥が飛来する湖沼水での鳥インフル検出情報を防疫へ 宮崎県で共同研究開始2026年3月24日 -
京急イエローハッピートレインを特別ラッピング「ハッピーターントレイン」運行 亀田製菓2026年3月24日 -
安定供給と収益性を両立 農業生産法人「栄農人」に投資 Future Food Fund2026年3月24日 -
コープデリ「ハッピーミルクプロジェクト」2026年度からアフリカ・ベナンを支援2026年3月24日 -
福島のいま「生きて、生きて、生きろ。」上映&トーク開催 パルシステム2026年3月24日 -
農業教育をアップデート 農業大学校の指導者向け「教育入門書」制作 マイファーム2026年3月24日 -
徳島県鳴門市で関係人口創出「農山漁村振興への貢献活動に係る取組証明」取得 おてつたび2026年3月24日


































