農政:緊急企画:許すな!日本農業を売り渡す屈辱交渉
TAGはどこにいる? 日米共同声明全文を和訳し比較する(1)2018年10月11日
9月26日の日米共同声明について、緊急企画として各界の方々からコメントをいただき掲載してきたが、声明(英文)には、安部首相がいう「TAG」はないという指摘が多くの方からあがっています。そこでJAcomでは改めて全文を和訳し、在日米国大使館および我が国の外務省版和訳と比較した。さて「TAG」はどこにいるのか一緒に探してみませんか。なお、それぞれの全文はPDFにしてあり、クリックすれば読むことができますが、4つ並べて比較するのは面倒なので、各項ごとに分けて、声明全文(英文)、在日米国大使館(米国大使館)、外務省(日本国外務省)、JAcomの訳文を掲載した。掲載順も、「TAG」を見つけやすくするために「3」を冒頭に配した。また、「3」には、JAcomが和訳する上で気になったことをメモとして合わせて掲載したので、参考にしてほしい。
(参考資料。いずれもPDF)
・声明全文(英文)
・在日米国大使館(米国大使館)
・外務省(日本国外務省)
・JAcomの訳文
(写真)先月行われた自民党総裁選後の記者会見で
3. Japan and the United States will enter into negotiations,following the completion of necessary domestic procedures, for a Japan-United States Trade Agreement on goods,as well as on other key areas including services,that can produce early achievements.
(米国大使館)
3. 米国と日本は、必要な国内手続が完了した後、早期に成果が生じる可能性のある物品、またサービスを含むその他重要分野における日米貿易協定の交渉を開始する。
(日本国外務省)
3. 日米両国は,所要の国内調整を経た後に,日米物品貿易協定(TAG) について,また,他の重要な分野(サービスを含む)で早期に結果を生じ得るものについても,交渉を開始する。
(JAcom)
3. 日本と米国は、必要な国内の手続きを完了させた後に、早期に実績をあげることができる、物品、並びにサービスを含む他の重要な分野に関する日米貿易協定の交渉を開始する。
2018年9月26日付け「日米共同声明」の翻訳に関する補足メモ(JAcom)
1. 原文の英語と翻訳の比較について:
2. 第3項の誤訳の可能性について:
次のような理由から、上記第3項の外務省による翻訳は、誤訳の可能性がある。
(1)「a Japan-United States Trade Agreement on goods, as well as on other key areas including services, that can produce early achievements」の英語表記の部分を「日米物品貿易協定 (TAG)について、また、他の重要な分野(サービスを含む)で」と翻訳しているが、「Trade Agreement on goods」のgoodsは小文字で表記されている。これを「物品貿易協定」と訳し、英語の本文にない「TAG」という略称を付すのは誤訳と考えられる。原文通りに略称を付けるなら「TAg」とすべきである。ただし、貿易などのさまざまな協定の略称はすべて各語の頭文字をとった大文字で記されるのが一般的であり、小文字を含むのは不自然である(ちなみに、日本の外務省および米国の大統領府がともにネット上で公表している英文の日米共同声明には、(TAG)という表記はない)。
(2)後掲の「<参考>第3項英文の組み立てについて」に示したように、日米両国が開始に合意した貿易協定交渉に関し、「日米物品貿易協定 (TAG)について」と、「他の重要な分野(サービスを含む)で早期に結果を生じ得るものについて」、別々に交渉を進めるようなニュアンスを、英文の日米共同声明からから読み解くのには無理がある。もし、「日米物品貿易協定 (TAG)」を、他の重要な分野(サービスを含む)に関する協定とは分離された独立のものとして示すのではあれば、英文にある「日米貿易協定」は「Japan-United States Trade Agreements」と、複数名詞の表記にする必要がある。
(3)なお、外務省が公表した日米共同声明第3項の訳文は、「3.日米両国は、所要の国内調整を経た後に、日米物品貿易協定 (TAG)について、また、他の重要な分野(サービスを含む)で早期に結果を生じ得るものについても、交渉を開始する。」となっており、アンダーライン部分の「早期に結果を生じ得る」という修飾節は、「他の重要な分野(サービスを含む)」のみを説明している。しかし、英文では、「, that can produce early achievements」と、関係代名詞のthatの前にカンマがあり、このthatの動詞が、「生産する」、「生み出す」、「実らせる」などの意味を持つproduceであることから、「早期に実績をあげることができる」というこの修飾節は、「他の重要な分野(サービスを含む)」のみにかかるのではなく、「物品、並びにサービスを含む他の重要な分野に関する日米貿易協定の交渉」全体にかかると理解するのが正しいと考えられる。
<参考>第3項英文の組み立てについて
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(151)-改正食料・農業・農村基本法(37)-2025年7月19日
-
農薬の正しい使い方(41)【今さら聞けない営農情報】第307回2025年7月19日
-
第21回イタリア外国人記者協会グルメグループ(Gruppo del Gusto)賞授賞式【イタリア通信】2025年7月19日
-
【浜矩子が斬る! 日本経済】「政見放送の中に溢れる排外主義の空恐ろしさ」2025年7月18日
-
【特殊報】クビアカツヤカミキリ 県内で初めて確認 滋賀県2025年7月18日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 滋賀県2025年7月18日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 兵庫県2025年7月18日
-
『令和の米騒動』とその狙い 一般財団法人食料安全保障推進財団専務理事 久保田治己氏2025年7月18日
-
主食用10万ha増 過去5年で最大に 飼料用米は半減 水田作付意向6月末2025年7月18日
-
全農 備蓄米の出荷済数量84% 7月17日現在2025年7月18日
-
令和6年度JA共済優績LA 総合優績・特別・通算の表彰対象者 JA共済連2025年7月18日
-
「農山漁村」インパクト創出ソリューション選定 マッチング希望の自治体を募集 農水省2025年7月18日
-
(444)農業機械の「スマホ化」が引き起こす懸念【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年7月18日
-
【サステナ防除のすすめ2025】水稲害虫の防ぎ方「育苗箱処理と兼ねて」2025年7月18日
-
最新農機と実演を一堂に 農機展「パワフルアグリフェア」開催 JAグループ栃木2025年7月18日
-
倉敷アイビースクエアとコラボ ビアガーデンで県産夏野菜と桃太郎トマトのフェア JA全農おかやま2025年7月18日
-
「田んぼのがっこう」2025年度おむすびレンジャー茨城町会場を開催 いばらきコープとJA全農いばらき2025年7月18日
-
全国和牛能力共進会で内閣総理大臣賞を目指す 大分県推進協議会が総会 JA全農おおいた2025年7月18日
-
新潟市内の小学校と保育園でスイカの食育出前授業 JA新潟かがやきなど2025年7月18日
-
令和7年度「愛情福島」夏秋青果物販売対策会議を開催 JA全農福島2025年7月18日