農政:農業協同組合研究会 第29回研究会
【山崎周二・JA全農代表理事専務】事業領域拡大へ全力 改革、着実に前進2019年3月4日
・農業協同組合研究会第29回研究会
農業協同組合研究会(会長:梶井功東京農工大名誉教授)は2月16日、東京都内で第29回研究会「自己改革の取り組み状況と課題」を開いた。JAグループの自己改革をテーマにした2回目の研究会で、今回はJA全農とJA共済連からそれぞれの事業の改革実践状況を報告した。本ページは山崎周二・JA全農代表理事専務の報告です。(司会は元JA全農専務の岡阿彌靖正氏)
「全農レポート2018」をみていただきたい。毎年出しているレポートだが、これを使って、昨年1年間で、内部、マスコミ、取引先、農協などで70回説明会を行った。
国は成長戦略と言うが、我々は持続可能な農業を実現していくのだということをはっきりうたっている。これを使って全農職員みんながJAグループ、あるいは全農の営業マンになろうと呼びかけている。
規制改革会議が投げてきたビーンボールに対して、全農は2016年11月に「自己改革に関する方針」を決め、翌年の3月の臨時総代会で「農林水産業・地域活力創造プランに対する本会の対応」を決めて自己改革に取り組んでいる。
(写真)山崎周二・JA全農代表理事専務
農薬事業の「担い手直送規格」では全農の対応に一緒に取り組んでいるJAは一昨年が208JA、昨年が318JA、そして今年が353JAと、スタートしてから約1.7倍になった。来年は450JAが目標で、経済事業をやっているJAはほぼすべて取り組んでいることになる。
トラクターでは、生産者を対象に1万人のアンケートを行い、型式を決めた。皆でつくったトラクターで60馬力。標準的な農機メーカー4社の同じクラスに比べ、概ね2~3割の生産者購入価格の引き下げ、400万円ちょっとの価格を実現した。30年度で800台売れ、32年度までに3か年で2400台の販売を目標にしている。
段ボールは原紙の高騰もあって、価格を抑えることしかできないが、パレット作業ができるように、規格の統一はきちんと実施する方針だ。
そして飼料は、直近では今年1月、子会社のホクレンくみあい飼料と雪印種苗の合弁で「ホクレンくみあい・雪印飼料(株)を北海道苫小牧市に設立することを決めた。また、カナダでは、アメリカにおける全農グレインと同じように、内陸集荷しバンクーバーの積み出し港まで一貫物流の構築を進めている。ここでは大麦、小麦、ナタネを集荷してカナダから日本向けに輸送する。
米では29年度3か所、30年は3か所の広域集出荷施設をつくり、累計13か所になった。寿司向けの精米安定供給のためスシローのほか、木徳神糧や寝かせ玄米の会社などとも提携し、米販売の拡大に努めている。
そして輸出は、中国の大手「アリババ集団」と提携し、日本産のコメを中国でのインターネット通販も始めた。輸出用の産地をつくる取り組みも進めている。園芸でも加工・業務用野菜の販売拡大のため、流通・加工会社への出資・業務提携を進めている。
29年に「営業開発部」を設け、実需者に近い所で横断的なプロジェクトを立ちあげ、取引先に営業を行うとともに、ニーズに基づいた産地開発・商品開発を進めている。業務用加工野菜では、18の新産地をつくった。もっと広げ、全体として消費に突き刺さって行く方針です。
このような取り組みを含め、平成31年からの次期3か年計画では、5年後、10年後を見据えた全農の目指す方向を示した「全力結集で挑戦し、未来を創る」のスローガンのもと、生産振興と全農グループMD(マーチャンダイジング)部会による商品開発等の販売戦略を一体的に取り組んで全農のバリューチェーンを構築し、事業領域の拡大をめざす。
※山崎氏の「崎」は正式には異体字です。
(関連記事)
・【村山美彦・JA共済連代表理事専務】JAのサポート機能を強化 共済事業の自己改革(19.03.04)
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