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【アグリビジネスインタビュー】食と農の安全確保を誇りに 住商アグロインターナショナル・丸山浩道社長2023年4月20日

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住商アグロインターナショナルは商社として初めて農薬工業会の正会員に認められた。同社の丸山浩道社長に事業展開の方向と国内農業への思いを聞いた。

財務固め多様性追求

丸山浩道社長丸山浩道社長

――最初に御社の農薬事業の変遷と現在の事業展開の概要を説明いただけますか。

我々、住友商事グループは、過去約50年に亘って農薬事業を行っています。最初は日本からの輸出、1990年代からは主にヨーロッパで現地販売会社を設立してディストリビューション事業(流通・配布)に進出しました。

その後、われわれ自身が農薬の剤そのもののホルダーとなって事業を展開することを指向して商品買収を行いました。

そしてディストリビューション事業はヨーロッパから南米、中米、さらにアジアへと地域を拡大し、加えて地域を拡大するだけではなく、より農家に近いところで事業を展開するべく農薬、肥料、種子、農機などを販売する、リテーラーと我々が呼んでいる小売り事業へも会社買収を通じて進出しています。

その後、最近ではアグリテック(農業分野のIT活用)と言われる分野でも事業を行っています。

ビジネス環境の変化に伴い日本のメーカー様のニーズが変わるなかで、我々もその機能と役割を変化させてきた50年でした。

現在、住友商事グループでは37カ国に43事業会社を展開しており、農薬事業を中核として、かなり大きな農業資材事業グループを形成しているということになります。事業会社のほとんどがディストリビューターですが、3社はリテーラー、2社は製造会社です。

この中で、住商アグロインターナショナルは住友商事グループ事業会社向け並びにその他の取引先向けへのトレーディング事業を営むと共に、アジア地域の事業会社6社の統括・管理業務を担っています。より事業を推進させていく上で、商品開発の重要性を認識し、3年前に弊社内に商品企画部を開設し、お客様のニーズに応える体制を整えました。

また、昨年7月に住友商事を引受先とする増資を実施し、資本金をそれまでの約10倍となる30億円2000万円としました。われわれの拡がる事業活動の規模に合わせ、財務基盤をより堅実なものとするためです。

――取引先などビジネスパートナーとの関係でめざしていることは何でしょうか。

社内では「ありたい姿」と言っていますが、全てのステークホルダーから「頼りにされる、信頼されるパートナー」でありたいということです。そのためには受動的な姿勢で、依頼されたものを輸出入するだけではなく、新しい機能を提供・提案することが必要であると考えています。グループに43社の事業会社があるわけですから、個々の事業会社が持っている機能や知見というアセット(経営資源)を洗い直し、それをグループ間で連携し、横展開で結びつけるなど、新しい機能を身に着け、提供・提案することをめざしています。徐々に成果が出始めています。

――43の事業会社の機能を組み合わせて、新たなソリューションを提供していくといったイメージでしょうか。

そうですね。われわれ自身がグループの事業会社について、その機能を一歩進んで知ることによってもっと違うことができるだろうと考えています。グループ内の43事業会社それぞれとトレードを行っているのは唯一当社だけですから、そのコアにならなければいけないとの考えがあります。

頼れる資材供給を提案

――めざす姿の実現に向けて、どのような取り組みをされていますか。

先ほど増資に触れましたが、当社を頼りにしてもらうためにはまず財務体質をより強固なものしなければならないと考え、資本金をそれまでの10倍となる増資を実施しました。

また、事業会社の自律化という動きを進めています。われわれは、住友商事グループの1社ではありますが、自分たちで戦略を考え、自分たちで決断して、結果を出すことが求められています。そのなかで当社に与えられる権限が拡がりました。たとえば、有用な剤の開発・買収を進める際の権限です。日本の農薬メーカー様から頼りにされるにはしっかりした財務基盤はもちろん、スピード感も大事で、権限の拡大を受けて、お客様の期待にも応えられると考えています。

それから3年前に設置した商品企画部は研究部門として開発にあたっていますが、営業部門とのコミュニケーションをしっかり行い、開発した商品をきちんと引き受けて責任を持って売るような体制に変えました。

商品企画部はバイオ農薬と混合剤の開発、登録を中心に、海外で開発された剤の薬効なども調べています。

――グローバルに事業を展開する一方、国内でのプレゼンス向上のためにどのような取り組みを行っていますか。

農薬に限っていえば我々の事業の9割は海外向けです。一方で、日本は世界4位の市場です。当社として事業展開するにあたっては、これまで輸出がメインで実は日本国内にはあまり目を向けてこなかったことの反省もあって、日本市場にも再度目を向けています。

すでに日本のメーカー様や販売会社様と組んで製造委託をし、日本国内で販売している製品もあります。今後も海外のネットワークを生かして国内市場に力を入れていきたいと考えています。

その意味で今回、当社が商社では初めて農薬工業会の正会員として加入したことは大きなことです。

バイオ技術活用も

――改めてコロナ禍やウクライナ情勢をうけて、食料、農業をめぐる国際情勢の変化と課題などをお聞かせください。

当初は大変な状況になったと捉えていましたが、農薬に限ると業績的にはフォローウインド(追い風)という側面もありました。前期、前々期とも業績は堅調で、確かに製造や輸送などのコストが上昇したという面はありますが、食料とそれを支える農業資材が足りなくなるのではないかといった懸念から購買意欲が高まったという面が業績に表れたと思っています。

ただ、一方でやや落ち着いたとはいえ肥料価格は依然として高く、農業生産は厳しい状況ですから、今後、国によっては農業生産への制約で農薬の流通在庫が課題になることも考えなければならないと思っています。

こうしたなか、当社で働いている社員は農業や食の安全確保に貢献したいという強い思いで入社してきており、今、我々にできることは何かを考えてくれています。

その一つが、バイオ農薬の開発です。これは各地域の特性に合わせた農薬となりますから、単体の商品としての事業規模は大きくないかもしれませんし、総合商社的には優先順位は高くできないかも知れません。ただ、会社の存在意義そのものが食料の確保、食の安全の確保ですから、取り組むべき分野であり、当社だけでなくグループ全体でその方向に舵を切っています。

まずは海外で現に製品化されているバイオ農薬の販売権等を購入し、いろいろなエリアでテストして販売につなげていくということです。将来は日本市場に持ってくることも視野に入れています。

――それは日本のみどり戦略にも対応する取り組みですね。

みどり戦略が掲げている目標はなかなか難しいものもあると思いますが、当然、貢献しなければならないと思っています。それが今お話ししたバイオ農薬、それからバイオスティミュラント(生物刺激剤)です。これをいかにして我々の手で開発、販売し、その利用を現場で促進できるかだと思います。

そのためにグループの横断組織、グローバル組織を作っています。すでに独占販売権を取得したものもあります。

――JAグループに対する期待をお聞かせください。

我々は、いろいろなものの組み合わせを考えなければならない組織体です。上流の製造から下流のリテーラーまでさまざまなかたちで関わっています。そういう意味ではJAグループ様と似通った業態ではないかと思っています。

地理的にも歴史的にも全然違うところで事業を展開してきていますが、ここから先は何か一緒にできることがあればいいと思っています。

我々は住友商事も含めて50年前から、その場面に応じ、いろいろなパートナー様と一緒になって成長してきた組織体ですのでJAグループ様とも、将来的にはパートナーとして何か連携できることがあればと思います。

【略歴】
(まるやま・ひろみち)
1960年長野県生まれ。趣味はゴルフ、スキー(競技)、釣り、絵画、など。海外生活はスイス(ローザンヌ)に11年、米国(ヒューストン・ニューヨーク)に6年。将来はログハウスを建てて、欧風家具を全部自分で作るのが夢。

【住商アグロインターナショナル株式会社】
1982年に農業・環境衛生に関するコンサルティング活動を目的として設立(会社名=ヘルスアグロ株式会社)。99年11月に住商アグロインターナショナル株式会社へ社名変更。株主構成=住友商事株式会社100%。主要取扱品目=殺虫剤、殺菌剤、除草剤、家庭用殺虫剤、動物用医薬品、ペットケア製品他。取扱高=648億円(2022年度)。従業員=122名(2023年4月1日現在)。

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