農薬:防除学習帖
トマト防除暦の作成24【防除学習帖】第158回2022年7月16日
本稿では、トマトの様々な作型や地域での防除暦作成のための基礎資料として活用できることを目指して月別の基礎防除暦の作成に取り組んでおり、今回は7月の防除を整理する。
1.一般栽培
本作型では、7月は5月に定植した苗が順調に生育し、収穫が始まっている時期である。この時期は主に微小害虫防除を中心に組み立てる。一般に夏場にはかびが起こす病害は発生が少なく、青枯病やかいよう病など細菌性の病害が多くなる。細菌病の場合は、治療する薬剤等はないので、病株を発見したら速やかに抜き取り、ほ場外に持ち出して適切に処分する。被害残渣の処分方法は、可能ならば焼却するのが望ましいが、難しい場合は、トマト園地から離れたところに埋設、もしくは残渣をまとめて被覆し、太陽熱による蒸しこみ消毒などの方法を取る。
2. 抑制栽培
本作型では7月は定植時期にあたる。5月で紹介した定植時の処理(苗立枯病防除対策等)を実施するが、この時期は高温時期でもあり、薬害も出やすくなるので、株元処理粒剤などは、薬剤量を間違わないよう十分に留意する。
3.促成栽培
7月は、前月に終了後の措置(被害残渣の圃場外への搬出、施設栽培での蒸しこみ処理など)を確実に行ってほしい。次作の定植(10月)に備えて、もし土壌病害虫の被害が多かった場合は土壌消毒処理を行う。消毒方法は、土壌消毒剤の使用でも良いが、夏場で日照が多い時期であり最も効果を発揮しやすい時期でもあるので、太陽熱消毒もしくは土壌還元消毒をお勧めしたい。これらの熱を使用した消毒法は、エコで作業者への負担も少ない方法なので、利用できるようなら積極的に実施を検討する。
4.半促成栽培
7月は、前年に定植したトマトの収穫が終了する時期である。病害については3~4月の防除対策を継続して実施する。害虫については、アブラムシ類、コナジラミ類、アザミウマ類、ハモグリバエ類の発生が多くなるが、基本的には3月に示した黄化葉巻病防除対策を継続することで防除は可能である。ただし、特異的に一部害虫が多くなるようであれば、薬剤抵抗性害虫発生の可能性を考慮して、指導機関等に相談の上、防除対策を実施する。
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