農薬:防除学習帖
トマト病害虫雑草防除のネタ帳 害虫防除 ハダニ【防除学習帖】第187回2023年2月11日
現在、防除学習帖では、トマトの病害虫雑草の生態や防除法を紹介している。前回までに病害を一通り紹介し、病害虫雑草すべてに共通する土壌消毒まで紹介したので、今回から土壌消毒以外の害虫の防除のネタを紹介していきたい。
1.害虫の分類
トマトの害虫を分類すると以下のようになる。害虫は、防除対象とする害虫が、どの目や科に分類されるかによって、防除法が似てくる。特に殺虫剤は、効果のある有効成分が共通することが多いので、本稿では、目、科レベルでの防除対策を中心に整理していこうと考えている。
2.ダニ目ハダニ科の防除
(1)トマトを加害するハダニ類の生態と被害
トマトを加害する主なハダニは、ナミハダニ(黄緑型、赤色型)およびカンザワハダニの2種である。この他、アシノワハダニ、イシイハダニが寄生することが知られている。ナミハダニ、カンザワハダニともに広範囲の作物に寄生することが知られており、周辺の作物への寄生状況も把握しておく必要がある。
両種ともに、寄生されると葉面に斑が入り、その後黄変して、葉全体が萎凋する。発生が多くなると、樹勢が低下し、品質低下と減収を起こす。両種ともに生育に好適な条件が揃うと、急激に増加し、特にナミハダニの好適条件での増殖は著しい。梅雨明け後に高温乾燥が続くと多発する傾向があるが、施設栽培では年中発生するので、定期的な防除が不可欠である。
それぞれの生態は以下のとおり。
トマトを加害する主要なハダニ類の生態
(2)化学的防除法
ハダニ類は発生が多くなってからでは防除が困難になるので、発生時期にはよく観察し、ハダニを見つけたら、速やかに株全体の葉裏まで丁寧に散布し、発生初期の徹底防除を確実に行う。
ハダニ類は、薬剤抵抗性が発達しやすいため、必ず作用性の異なる殺ダニ剤のローテーション防除を実施する(下表を参考にする)。ローテーション防除の1剤には、散布回数の制限が無く、抵抗性発達の恐れが無い「エコピタ液剤」等の気門封鎖剤を活用するようにするとよい。
(3)生物的防除
天敵の活用が有効である。ハダニ類の発生初期の密度が小さい時に天敵資材を導入する。
導入にあたっては、天敵を保護し、増殖を助けて長期間天敵を放出することができる資材である「バンカーシート」を有効活用すると良い。天敵資材には、天敵のチリカブリダニを製剤化した「チリガブリ」、ミヤコカブリダニを製剤化した「ミヤコスター」「ミヤコトップ」があるが、天敵製剤の場合、使用方法を正しく実施しないと十分な効果を発揮しないこと多いので、初めての導入の際には指導機関やメーカーの指導を仰ぐようにする。
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