農薬:防除学習帖
トマト病害虫雑草防除のネタ帳 害虫防除 アブラムシ【防除学習帖】第190回2023年3月4日
現在、防除学習帖では、トマトの病害虫雑草の生態や防除法を紹介している。トマトを加害する害虫の防除ネタを順次紹介しており、今回は、カメムシ目アブラムシ科に属する害虫の生態と防除を紹介する。
1.トマトに発生するアブラムシ類と生態
アブラムシ類はトマトのような春夏野菜の代表的な害虫であり、トマトには、ワタアブラムシおよびモモアカアブラムシの発生が多い。ワタアブラムシは6月~8月が発生のピークで年に10数回も発生する厄介な害虫である。モモアカアブラムシは4月上旬から5月下旬に発生が最も多くなる。

2.形態と生態
アブラムシは、単為生殖(メスが交尾をせずに子供を産み続ける)を行って何度も世代を繰り返すため、一度増殖が開始されると短い期間に一気に増加するのが特徴である。
また、アブラムシの厄介なところは、各種ウイルス病を媒介することである。キュウリモザイク病などの病原体を保毒していると、作物から吸汁する時にウイルスを作物に感染させてしまうので、発生前の予防防除か遅くとも発生初期の徹底防除を確実に行うようにする。
3.耕種的防除法
アブラムシは、増殖が速いため、発見したらできるだけ早く駆除する必要がある。メインは農薬で行うことになるが、以下に示す耕種的防除を組み合わせ、できるだけアブラムシの密度を低くしてから農薬を使用すると、より防除効果も安定する。
(1)物理的防除
害虫を手で捕まえて殺したり、防虫ネット(不織布等)で作物を覆ったり、ハウスの側窓をメッシュの細かい網で覆ったりして害虫を作物に物理的に近づけないといった方法で害虫を防除する方法である。
①捕殺
文字通り、害虫を捕まえて殺すことである。アブラムシの場合は、小さくて捕まえることは難しいので、絵筆等で払い落したり、強い水流で洗い流したり、指で押しつぶすなどの方法がある。いずれも手間がかかるが、安全・確実な方法ではある。しかし、アブラムシの数が増えたり、広いほ場で満遍なく防除するには効率が悪すぎる。家庭菜園程度の面積であればまだしも、面積が大きくなるととても捕殺では害虫を防ぎきれないことは容易に想像できる。
②防虫ネット
露地物の葉物野菜の栽培などでよく使われる方法だ。べたがけ資材(不織布)で作物をすっぽり覆って、害虫を作物に寄せ付けない方法であり、ホウレンソウやコマツナなどの葉菜類の害虫防除でよく使われる。ただし、日照が不足するため、十分な日照を必要とする作物では使えないこともある。
③防虫網
ハウスの側窓や天窓をメッシュの細かい網で覆い、羽根アブラムシが侵入しないようにする方法である。ただし、メッシュを細かくしすぎた結果、ハウス内温度が高くなり過ぎて農作物の収量低下、品質低下を招いてしまう恐れがあるので注意する。
④光・色の利用
害虫は特定の光(波長)や色に対して反応することが多い。アブラムシは、銀色の光を嫌がる性質があるため、マルチをシルバーマルチにすることで、作物にアブラムシが寄り付きにくくなる。
一方、黄色にアブラムシ好んで集まることを利用し、黄色に着色した粘着板や粘着シート(ハエ取り紙みたいなもの)で害虫をおびき寄せ、捕殺する資材もある。ただし、いくら集まってくるとはいっても粘着板・シートだけでは防除しきれないので、他の方法と組み合わせて行う必要がある。
⑤気門封鎖剤の利用
水あめなど粘着性のある有効成分でアブラムシの気門を物理的にふさいで窒息させる方法である。使用する農薬は、気門封鎖剤と呼ばれるものであるが、天然成分で物理的にアブラムシを駆除するため、使用回数に制限がないことから、ここでは耕種的防除の一種に加えている。
4.化学的防除
アブラムシに効果のある有効成分を薬剤系列別に示した。これは、あくまで有効成分としての性能比較のため整理したものであり、一部トマトに登録のない薬剤も含まれている。あくまで参考に止め、実際の使用にあたっては、登録内容をよく確認して使用してほしい。
アブラムシは世代交代のスピードが速く、何度も発生する(世代を繰り返す)ので、1回の防除でおさまることは少なく、発生が多い時期には、農薬の残効期間を考慮しながらの定期的な防除が不可欠である。
また、薬剤抵抗性の発達も早く、既に多くの害虫に抵抗性の発達事例があるので、もし、前作で効きが甘いと感じる農薬があれば、今作で使用する前に抵抗性の発達状況を事前に指導機関等に確認するようにしてほしい。優れた農薬を長く使用できるようにするためにも、系統の異なる薬剤をローテーションで使用するなど、抵抗性発達対策を確実に行ってほしい。
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