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農薬:防除学習帖

トマト病害虫雑草防除のネタ帳 施用法(6)【防除学習帖】第206回2023年7月1日

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これまで、防除学習帖ではトマトの病害虫雑草防除のネタを紹介してきた。それが一段落したため、農薬の施用法は全作物に関係するものであることから、トマトに限定せずにご紹介している。
農薬には様々な製剤があって使い方も様々であり、これを安全にかつ上手に使いこなすためには、農薬の取り扱いやそれぞれに応じた施用法を知る必要がある。
今回は、粉剤や粒剤、水稲除草フロアブル剤といった製剤容器に入っている製剤をそのまま散布する農薬の特性と上手な使い方について紹介する。

1.製剤をそのまま散布する農薬のメリット・デメリット
この方法は、文字通り、農薬の製品袋・ボトルに入っている農薬製剤をそのまま散布する方法である。粉剤や粒剤のように、容器(袋やボトル)から製剤を散布機に直接入れ、製剤をそのまま散布する製剤のことである。
製剤そのままを散布するので、希釈のための清水が不要であることや、粒剤やフロアブル水稲除草剤、ジャンボ剤など、ドリフトがほとんど発生しないなどのメリットがある。また、粉剤では、有効成分を作物に付着させやすく、比較的安価であるため防除コストも安くできることがメリットである。
ただ、デメリットもある。特に粉剤では製剤自体が細かく軽いのでドリフトしやすく、加えて、粉剤や粒剤の散布でホースを使う場合には、最低2名の作業者が必要であるし、長いホースであれば中持ちといってホースの中央部分を持ってホースをまっすぐに保つ係りを加えて3人が必要となるなど、散布労力がかかる点などである。
また、粒剤は粒を成型するためコストがかかり、製品価格が割高な点が指摘されることもある。
ただし、この点については、一考する必要がある。
粒剤は確かに水和剤といった希釈して散布する製剤に比べて10a当たりの薬価は高くなるが、その分、根から吸わせるため雨でも流れ落ちることもなく、効果が安定し、持続することや、ドリフトが少ないといった大きなメリットもある。
例えば、病害防除で、10aあたり価格が1000円で残効が1週間の希釈散布剤を1週間おきに3回散布すると、その剤の効果が持続している期間は21日で、必要な農薬代は、1000×3=3000円(/10a)である。これを、残効が21日間の粒剤を使用すると1回の散布で防除が可能になるので、10aあたり価格が2000円の粒剤であれば、粒剤を1回散布する時の薬価は、2000円(/10a)で済み、差し引き1000円安く防除できる。さらに、散布回数が3分の1になるので、散布のための労働費は単純に計算すれば1/3になり、粒剤の散布コストはさらに安くなる。
このように、散布回数と労働費を入れた防除コストは、粒剤の方がかえって安い場合が多いので、防除費用を考える場合には、製剤そのものの価格よりも、期待する防除効果を得るために必要なトータルコスト(10aあたり薬価、労働費、効果の持続期間)で考えるようにする方が良い。

2.製剤をそのまま散布する農薬の散布機械
製剤をそのまま散布する農薬の散布機は、製剤をファン等で作り出す風圧や樹脂板などで直接弾き飛ばすといった、物理的に製剤を送り出す機構を持ったものが多い。
液状散布の噴霧機に対し、動力散布機(動散・ドウサン)や散粒器(サンリュウキ)などと呼ばれている。噴霧器と同様に動力源によって、人力式と動力式があり、それぞれに様々なものがある。ほ場の形状や規模によって使用する機械を使い分けている。

(1)人力散布器
①散粉器・散粒器
人力でファンを回して粉剤を散布する散粉機や、同じく人力で樹脂板付円盤を回して粒剤を散布する散粒器が一般的である。近年は、粉剤を手動で撒くことはほとんどないので、人力といえば、散粒器を指すことが多い。
粒剤の場合は、10aあたり1~3kgを散布することが多いので、薬剤ホッパー用量が5kg程度の散粒器を利用すれば10a程度のほ場であれば、1回の投入で1ほ場散布できる。なので、大面積で使用する場合には、何度も薬剤を補充しなければならず、またほ場内をくまなく歩き回る必要があるので、大面積には向かない。

②フロアブル散布
水稲除草剤には、希釈せずに散布するフロアブル剤がある。この場合、農薬のボトルに入っているフロアブル剤をそのまま水田に散布する。散布方法は、畦畔を歩きながら一定間隔で開封したボトルを振ると、一定量のフロアブル剤がボトルから飛び出して水田内に散布されるとい単純なもの。10aの田んぼであれば、畦畔を一回りしながら、ボトル内のフロアブル500mlを全部振り入れれば散布が完了する。
また、加圧式でより遠くまで飛ばす、専用の散布器で散布する方法もある。
フロアブル剤は拡散性が良いので、大雑把に散布しても水の中を均一に拡散して効果を示す。ただし、散布の際には必ず湛水状態で散布する必要がある。
製品によっては、入水の時に水流にフロアブル剤をドボドボと流し入れるだけで散布が完了するものもある。この場合、入水がオーバーフローしないように注意する必要はあるが、散布労力は大幅に少なくすることができる。

③拡散型製剤(ジャンボ、FG、豆粒、楽粒)
主に水田で使用される水稲除草剤の製剤が主体である。製剤をそのまま面積に応じた所定量を散布するものである。近年はFG・豆粒・楽粒といった自己拡散型の製剤が多く出てきており、FGは風上圃場1辺散布、豆つぶ剤は柄杓での散布など省力的な散布が可能となっている。散布労力の軽減化が望まれている中、期待されている製剤である。

(2)動力散布機
粒状のものを大量に散布する装置には粒剤や粉剤を散布する動力散布機には、数百kgといった単位の薬剤を大型タンクに入れて散布するような機械はない。肥料を散布する時に使用されるブロードキャスターといった大量の固形物を散布できるトラクター装着タイプの機械もあるが、それは農薬を散布する際には使用されることはほとんどない。なぜなら、農薬の取締法や性格上、フレコンなどで流通する製剤をつくることが困難であるためと、背負式動散で30kg背負えば、1キロ水稲除草剤を3ha分散布できるので用量的には十分であるからである。このため、農薬散布には30kg程度を詰める背負式動散が多く使用される。

① 背負式動散
モーターや小型ガソリンエンジンを動力源にして、ファンや円盤を回して固形製剤を遠くにに飛ばして散布する。10kg~30kg程度の薬剤タンク容量を持つ「背負式動散」が一般的である。薬剤タンクに薬剤を満載すると、エンジン重量と合わせて40kg程度となり、背負って散布するには、かなりの重労働を強いられる。この点、電動の場合は幾分軽いが動力が弱く、バッテリーの持ち時間が限られることから、あまり大面積での散布には向かない。
動散には、噴頭と呼ばれるパイプ状のものを使用して遠くまで飛ばして散布することが多い。畦畔噴頭と呼ばれるものを装着すると15m~20m飛ばすことができるので、幅が30m程度のほ場であれば、中に入らずに畦畔を回るだけで散布ができる。
また、噴霧機と同様に吹き出し口にビニルホースをつないで散布することも多い。
この場合、機械を背負う係とホースの先端を持つ係の最低2名で行う必要があり、ホースが長くなると中持ちが必要になるので、その分人員も多く必要になる。

②粒剤の田植同時散布機
田植機の植付部に装着し、田植えと同時に粒剤を散布する装置が大きく分けて2種類ほどある。
1つ目が、苗を植付けたあとに粒剤を均一に散布していくタイプのもので、田植え幅に合わせて幅広の散粒装置が植付部の後方に取り付けられているものが一般的だ。これは、田植え同時散布が可能な水稲除草剤などで多く使用されている。
もう一つが、苗送り機の上に散布装置を配置し、植付け直前の育苗箱に育苗箱処理粒剤を均一に散布するタイプのものである。文字通り、育苗箱処理剤の散布に特化したもので、田植え当日散布が可能な育苗箱処理剤の処理に使用する。これは、畦畔に苗を並べて、ひと箱ずつ粒剤を散布する労力を減らすことができ、しかも田植えに必要な箱にだけ薬剤を散布することができるので、経済的でもある。
これらの装置は、面倒な散布作業を田植えと同時に終わらせてしまう省力技術であり、規模拡大の際などに導入する農家も多い。ただし、使用できる農薬には限りがあるので、事前によく確認する。

③フロアブルの田植え同時散布機
田植機の植付部に装着し、苗を植付けたあとにフロアブル剤を均一に一定量滴下していく装置である。滴下口は1つだけで、田植え後の入水と同時にフロアブル剤が均一に拡散する仕組みである。このため、単位面積当たりの液量が守られるように速度連動して吐出量を調整している。田植え同時が可能な水稲除草剤で使用される方法である。

④フロアブル剤のラジコンボート散布
ラジコン操縦のボートにフロアブル剤や豆つぶ剤を積み、湛水状態の水田内を走らせながら散布する方法である。イネが大きくない時に限られる方法であるが、散布労力が大幅に軽減される。

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