タピオカブームで市場が活性化 清涼飲料の国内市場調査 富士経済2020年2月18日
富士経済は2月14日、清涼飲料16分野49品目の市場の現状を調査・分析した「清涼飲料市場における将来性および成長要因分析調査 2019」を発表した。清涼飲料の健康性や容器・容量などをテーマに注目される17品目の市場の将来性についてもまとめた。
清涼飲料の国内市場は、2019年見込みで5兆2286億円で前年比100.2%。2020年の予測は、前年比100.4%の5兆2379億円と予測している。
2019年は、前半にコスト増を受けた大容量PET商品や乳価の高騰による乳性飲料の価格改定、また、需要期の長雨や低気温といった天候不順の影響により、販売量ベースでは2018年を下回るとみられる。
一方、金額ベースでは一部商品の価格改定効果や、紅茶飲料や無糖茶飲料、豆乳類の伸びにより、2018年比0.2%増が見込まれる。
ドライ飲料は、無糖茶飲料や紅茶飲料が好調だったが、前半に上位メーカーが価格改定を行ったことによる消費者の買い控えや流通との交渉難航などで大容量PET商品の販売が減少した。また、猛暑となった2018年と比べて、7月の販売が天候不順により大きく落ち込んだため、市場の伸びは微増にとどまるとみられる。
チルド飲料は、近年はドリンクヨーグルトや豆乳類など機能性や健康性の高い飲料が好調であったが、ドリンクヨーグルトの需要は近年落ち着きつつある。一方、縮小が続いていた乳飲料ではたんぱく質摂取の重要性の認知向上により2018年比プラスとなるなど、明るい材料もみられる。
注目のカテゴリーでは紅茶飲料で、2019年にタピオカミルクティーがカフェや専門店をはじめ様々な外食業態に派生したことにより紅茶ユーザーの裾野が広がった。清涼飲料でも各メーカーから新商品が積極的に投入されたことにより、市場が活性化している。また、上位メーカーが既存ブランドのリニューアル、他カテゴリーブランドを利用した新商品投入など、それぞれの切り口による積極的な展開で、無糖やミルクティー、フルーツティーなど多様な商品が発売されたため、市場は2018年比16.0%増が見込まれる。
豆乳と大豆飲料を対象とする豆乳類は、健康需要に加え、近年は調製豆乳や無調整豆乳を中心に調理での使用など用途も広がり、市場の拡大が続いている。
2018年は、調製豆乳や無調整豆乳が堅調だったことに加え、豆乳飲料を凍らせて食べる"豆乳アイス"がSNSを通じて若年層の需要を獲得したことにより、市場は拡大した。2019年は、上位メーカーを中心に若年層や新規ユーザーの獲得を図った小型容器の豆乳飲料などの伸長、また、白物系豆乳が調理や飲用シーンなどの提案で需要が増えていることから、市場は前年比5.6%増の697億円が見込まれる。
ドリンクヨーグルトは、ヨーグルトの健康性をメディアが継続して取り上げたことで、免疫力向上によるインフルエンザ予防効果だけでなく、健康管理に寄与する商品として消費者に認知されたことにより、市場は拡大を続けてきた。
2018年は、機能性タイプの商品や大容量紙パックなどの展開によりライトな健康志向ユーザーの需要獲得を図ったものの、メディア報道の落ち着きや他の健康飲料への需要流出などにより、市場は2017年比で微減となった。2019年は、上位メーカーが機能性の認知向上に注力したことで各ブランドが安定的に需要を獲得しており、市場は2018年比1.7%増が見込まれる。
炭酸飲料は、無糖炭酸系が伸びているものの、有糖炭酸は特に原料価格の高い果汁系炭酸の苦戦が続いたため、2016年以降は市場縮小が続いた。2018年は猛暑による需要増加で2017年比プラスとなったが、2019年は上位メーカーの大容量サイズ商品の価格改定や、7月の天候不順により各メーカーが需要期に販売を落としたため、市場は2018年比1.6%減が見込まれる。
2020年は、前年の天候不順による大幅減の反動から各メーカーの売上は2019年比プラスが期待されるほか、市場をけん引している無糖炭酸では「ウィルキンソン」(アサヒ飲料)の好調が継続するとみられる。五輪のパートナー企業であるコカ・コーラシステムの販促の活発化、訪日外国人の増加によるインバウンド需要なども期待され、中長期的には継続した伸びは難しいものの、一時的な市場拡大が予想される。
注目市場はタピオカドリンク。台湾カフェをきっかけに2017年頃からタピオカミルクティーが日本でもブームとなり、タピオカドリンクもコンビニエンスストアを中心に展開され市場は急拡大している。
2019年は参入メーカーの増加や、ミルクティーだけでなく他のフレーバーも加わったことなどから大幅な伸びが予想される。
タピオカドリンクのフレーバーの内訳は、カフェラテや抹茶ミルクなどをベースとした商品が投入されているが、イメージが定着しているためミルクティーが大部分を占めている。一方、果汁をベースとした商品なども多く登場しており、限定的に伸びている。
ティースタンドカフェなどで提供されている商品と比べ安価で手軽に購入できることや、専門店へ行かなくても本格的なタピオカが味わうことができる。また、飲み歩きをするユーザーが多いためパッケージデザインへのこだわりや、デザインと合わせて新しいフレーバーを投入しSNSを利用した販促展開も図られていることから、今後様々なシーンで飲用機会の増加が期待される。今後は、新たな市場拡大のため、男性など新たなユーザー層の獲得が必要とみられる。
ノンカフェインやデカフェのリキッド商品を対象とするカテゴリーも注目。妊婦や子ども、病気や体質によりカフェインの摂取を控えなければいけない層の需要を取り込んでいる。
無糖茶飲料が市場の80%以上を占める。当初はブレンドティが大半を占めていたが、近年は麦茶の伸びが続いている。麦茶は猛暑対策などで夏場の需要が増えているほか、冬場でも乾燥対策としての訴求が奏効し、現在はブレンドティと同等の販売規模となっている。また、小規模ではあるがルイボスティーやジャスミンティーなども女性を中心に需要が増えている。
コーヒーでも、2010年頃からカフェインレスを意識した商品開発が進み、2015年頃からは"デカフェ"という表現が使われるようになり、美容や健康に気を遣う女性や妊婦などの一定の需要を取り込んでいる。
"デカフェ"という表現の使用が広まったことにより、カフェインの含有率を気にする消費者の増加や、質の良い睡眠や体調管理への関心の高まりから、ノンカフェイン・デカフェ商品の需要増加を受け、麦茶など元々カフェインを含まない商品でもノンカフェインを訴求した健康イメージ向上が図られている。
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富士経済2020年調査
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