「フラワー・オブ・ザ・イヤーOTA2022」決定 見えてきた新たな評価基準 大田花き2022年11月24日
花き市場の株式会社大田花きは、2022年のトレンドを反映する花「フラワー・オブ・ザ・イヤーOTA」を発表。約20万点に及ぶ候補から4点が選出され、最優秀賞には下関花維新の会(山口県下関市)のケイトウ「プティフルーツマーメイドピンク」が選ばれた。
今年で18回目となる「フラワー・オブ・ザ・イヤーOTA2022」には、全国、および輸入品を含む約20万点の候補から4点が選ばれ、最優秀賞は、下関花維新の会(山口県下関市)のケイトウ「プティフルーツマーメイドピンク」に決定。また、優秀賞は真田フラワー(千葉県南房総市)のセンニチコウ「ローズネオン」となった。さらに、特別賞は、JAおおいた豊肥エリア(大分県竹田市)のサクラ「湖上の舞」、新商品奨励賞は、しんせんむら(長野県茅野市)のアスター「ボブピンクソルベ」が選ばれた。
3年に及ぶコロナ禍で、定着した自宅需要により、花きがもたらすストレス低減効果の認知普及も影響し、生活空間に花や緑を飾ることが浸透してきた。流通品目の評価にも変化が見られ、茎が長く立派で、大輪なものばかりが良い花とされるのではなく、自宅にある小ぶりな花瓶に適したサイズや輪径のものが、使いやすくてよいという評価基準に。なかでも、その時にしか手に入らない季節指数の高い草花類、枝物類の引き合いが強まった。
また、今回はいずれも暖房を使わない無加温生産をした品目が受賞。各生産地の気候と地の利を生かし、持続可能な生産に取り組む生産者が成果を上げている。燃料の高騰が生産コストに重くのしかかる今、過剰な肥料やエネルギーコストをかけずに、環境負荷を低く抑えて多くの花きを出荷することで、消費者にとっても求めやすい価格となる。この好循環からさらに活発な取引が行われた結果でもあり、コロナ禍を経て定着した自宅需要の影響が色濃く反映された結果となった。
左から、最優秀賞のケイトウ「プティフルーツマーメイドピンク」、
優秀賞のセンニチコウ「ローズネオン」、
特別賞のサクラ「湖上の舞」、
新商品奨励賞のアスター「ボブピンクソルベ」
◎「フラワー・オブ・ザ・イヤーOTA2022」受賞作品
【最優秀賞】ケイトウ「プティフルーツマーメイドピンク」
生産者:下関花維新の会(山口県下関市)
コロナ禍の3年を経験し、花きの需要は自宅用が伸長。良い花の評価基準において、「大きくなくていい」という流通上の真価を証明した意義深い受賞となった。自宅用に使いやすい仕立てとサイズで出荷。あらゆる花色と親和性の高い中間色が魅力。日数の経過とともにアンティーク調からドライフラワーに変化する過程も楽しめる。暖房を使わない無加温栽培で持続可能な農業生産を実現。山口県からは初受賞。
【優秀賞】センニチコウ「ローズネオン」
生産者:真田フラワー (千葉県南房総市)
草花生産農家三代目。温暖化が加速し、昨今の夏の酷暑に耐えられる花を探しているところセンニチコウに出合い2012年より生産開始。小輪花ブームにのって生産を順調に増やした。青みを帯びたショッキングピンクは、生き生きとした生命力をデザインにもたらし、あらゆるシーンで重宝された。ドライフラワーに適しているのも人気の理由。センニチコウは初受賞。
【特別賞】 サクラ「湖上の舞(こじょうのまい)」
生産者:JAおおいた 豊肥エリア(大分県竹田市)
個性的なジグザグの枝に、恥じらうような下向きの淡いピンクの花が付く独特な雰囲気を持つ品種。全国でも切り枝で出荷があるのはJAおおいたのみで、4月の出荷期にはそのユニークな佇まいが大いに注目を集めた。サクラが自宅用としてコモディティ化している中、さらに新しい展開が求められた結果といえる。
【新商品奨励賞】アスター「ボブピンクソルベ」
生産者:しんせんむら(長野県茅野市)
しんせんむらは3人のメンバーからなる生産グループ。全員が標高1000メートル以上の立地で地の利を生かし、20年以上化学肥料を一切使わず、微生物を活用しながら自然の力を最大限に引き出す生産方法に取り組んでいる。大輪のこのタイプは"アスターの境界"を乗り越え、新しい価値と用途を提案した。
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