流通:利益の取れる青果売場の現在!
[リンゴ]「選びやすさ」と「選ぶ楽しみ」を提供(下)2016年9月30日
◆研ぎ澄まされたバランス感覚を
近年では、このような選択肢の提示が購入における重要な要素となっている。お客様は「選びやすさ」と「選ぶ楽しみ」の両方のニーズを持っている。値ごろ感のある販売方法を考えるうえで大切なのは、提供する側のバランス感覚である。競合店の価格設定や他の果物における価格を考慮しながら、適正な価格帯や販売方法を決めていく。安すぎてもダメで、高すぎてもダメなのである。日頃のお客様との関わりの密度がバランス感覚を研ぎ澄ませる原動力となる。生産者にとって、価格を決める機会はあまりないが、値頃感はお客様の購入の重要な判断材料の1つであることは頭の隅において置きたい。
果物の場合、品種もまた1つの選択肢の提示と言える。リンゴの品種改良は進んでおり、店頭でも多くの品種が並ぶようになった。ここでは味やタイプの比較表、糖度表記、生産や品種のこだわりの説明を記したPOPなどを活用し、分かりやすく伝えることが大切である。お客様に「品種の違い」という選択肢を提示し、様々な手法で「選ぶ楽しみ」を満たすのだ。このように価格以外の選択肢が加わると、納得感が高ければ値段の高いものから売れていくことがある。ただ並べているだけで売れる時代ではなくなっている。このような選択肢の提示は他の果物にも応用できるものが多く、また、販売側と生産者側が連携してできる取り組みとして考えられるだろう。
◆トレンドを見て需要を掘り起こす
最後に周期的に訪れる「ブーム」について。リンゴやバナナは、ダイエット食材として取り上げられる機会が多い。また、健康食ブームを牽引しているスムージーでもリンゴやバナナが材料の一つとなっている。最近では、リンゴパイが人気を集め、スーパーでも手作りパイやクロワッサンなどを使った簡単メニューの提案を行っている。果物も長い目を見ればトレンドがある。流行やトレンドの波に合わせた生産の調整は行えないが、ブームによって需要は掘り起こせる。世の中の動きから新たなビジネスチャンスを見出すことは、今後の果物業界には欠かせない要素と言えよう。
≪今回のまとめ≫
りんごの需要安定の要因
(1)新種改良の夜品揃えの新陳代謝の促進
(2)値頃感が打ち出しやすい(ばら売り、バンドル販売、袋詰め等)
(3)安定した供給体制(通年出荷、CA貯蔵)、一定の保存が可能
(4)周期的なブームの到来
・[リンゴ]「選びやすさ」と「選ぶ楽しみ」を提供 (上) (下)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(158)-改正食料・農業・農村基本法(44)-2025年9月6日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(75)【防除学習帖】第314回2025年9月6日
-
農薬の正しい使い方(48)【今さら聞けない営農情報】第314回2025年9月6日
-
【注意報】普通期水稲に紋枯病 県内全域で多発のおそれ 長崎県2025年9月5日
-
「適正な価格」の重要性 消費者に訴える 山野全中会長2025年9月5日
-
米価暴落防ぐ対策を 小泉農相に小松JA秋田中央会会長2025年9月5日
-
(451)空白の10年を作らないために-団塊世代完全引退後の「技術継承」【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年9月5日
-
【統計】令和7年産一番茶の荒茶生産量 鹿児島県が初の全国一位 農水省調査2025年9月5日
-
【統計】大豆生産費(組織法人)10a当たり0.7%増 60kg当たり1.6%増 農水省調査2025年9月5日
-
【統計】大豆生産費(個別)10a当たり0.8%増 60kg当たり10.7%減 農水省調査2025年9月5日
-
【統計】冬キャベツ、冬にんじんの収穫量 前年比2割減 農水省調査2025年9月5日
-
長野県産ナガノパープルのスイーツ「いっちょう」「萬家」全店で提供 JA全農2025年9月5日
-
『畜産酪農サステナビリティアクション2025』発行 JA全農2025年9月5日
-
「国産シャインマスカット」全国のファミリーマートで販売 JA全農2025年9月5日
-
「わたSHIGA輝く国スポ2025」参加の広島県選手団へ清涼飲料水贈呈 JA共済連広島2025年9月5日
-
「いちはら梨」が当たるSNS投稿キャンペーン実施中 千葉県市原市2025年9月5日
-
猛暑対策に高性能遮熱材「Eeeサーモ」無料サンプルも受付 遮熱.com2025年9月5日
-
農機具王とアグリスイッチ 構造再編をチャンスに「週末農業プロジェクト」始動2025年9月5日
-
鳥インフル ハンガリーからの生きた家きん、家きん肉等の一時輸入停止措置を解除 農水省2025年9月5日
-
旬の巨峰を贅沢に「セブンプレミアム ワッフルコーン 巨峰ミルク」新発売2025年9月5日