有機・農薬節減栽培と生物多様性の関係を解明 農研機構2019年9月4日
農研機構は、有機・農薬節減栽培の水田では、慣行栽培よりも多くの動植物が確認できることを2013年から2015年の3年間に渡って行った全国規模の野外調査で明らかにした。
農業は、食料や生活資材を生産するだけでなく、農地やその周辺における生物多様性の保全を含む多面的な機能を果たしている。こうした観点から注目を集めているのが有機栽培や農薬節減栽培などの環境保全型農業だが、その効果を科学的に検証する研究は地域の事例研究にとどまっており、広域的な水田の生物多様性の調査に基づく検証は実施されていなかった。
農研機構をはじめとする研究グループは、全国各地の1000以上のほ場を対象に、有機栽培または農薬節減栽培を行う水田と、行わない慣行栽培の水田の両方で生き物の調査を行い、種数と個体数を比較した。
その結果、有機栽培の水田は、慣行栽培の水田と比較して、絶滅のおそれのある植物の種数や、害虫の天敵であるアシナガグモ属のクモ、アキアカネ等のアカネ属のトンボ、トノサマガエル属のカエル、およびサギ類などの水鳥類の個体数が多いことが明らかになった。
農薬節減栽培の水田も、慣行栽培の水田よりも植物の種数およびアシナガグモ属の個体数が多い一方で、ニホンアマガエルは少ないことがわかった。
また、ニホンアマガエルとドジョウ科については、化学肥料や化学農薬を減らすよりも、個別の管理法が個体数に大きく影響することがわかった。
農研機構はこの成果について、有機・農薬節減栽培や特定の管理法が、「生物多様性の保全に有効な農業生産方式であることを示す科学的で客観的証拠になる」とし、生物多様性に配慮した稲作により、環境へのマイナスの影響を減らすとともに、生物多様性を活用したブランド化など農産物に新たな価値を付与することいに役立つとしている。
重要な記事
最新の記事
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(1)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(2)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(3)2025年9月18日
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(3)病気や環境幅広く クリニック西日本分室 小川哲郎さん2025年9月18日
-
【全中・経営ビジョンセミナー】伝統産業「熊野筆」と広島県信用組合に学ぶ 協同組織と地域金融機関の連携2025年9月18日
-
【石破首相退陣に思う】米増産は評価 国のテコ入れで農業守れ 参政党代表 神谷宗幣参議院議員2025年9月18日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】協同組合は生産者と消費者と国民全体を守る~農協人は原点に立ち返って踏ん張ろう2025年9月18日
-
「ひとめぼれ」3万1000円に 全農みやぎが追加払い オファーに応え集荷するため2025年9月18日
-
アケビの皮・間引き野菜・オカヒジキ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第356回2025年9月18日
-
石川佳純の卓球教室「47都道府県サンクスツアー」三重県で開催 JA全農2025年9月18日
-
秋の交通安全キャンペーンを開始 FANTASTICS 八木勇征さん主演の新CM放映 特設サイトも公開 JA共済連2025年9月18日
-
西郷倉庫で25年産米入庫始まる JA鶴岡2025年9月18日
-
「いざ土づくり!美味しい富山を届けよう!」秋の土づくり運動を推進 富山県JAグループ2025年9月18日
-
日本初・民間主導の再突入衛星「あおば」打ち上げ事業を支援 JA三井リース2025年9月18日
-
ドトールコーヒー監修アイスバー「ドトール キャラメルカフェラテ」新発売 協同乳業2025年9月18日
-
「らくのうプチマルシェ」28日に新宿で開催 全酪連2025年9月18日
-
埼玉県「スマート農業技術実演・展示会」参加者を募集2025年9月18日
-
「AGRI WEEK in F VILLAGE 2025」に協賛 食と農業を学ぶ秋の祭典 クボタ2025年9月18日
-
農家向け生成AI活用支援サービス「農業AI顧問」提供開始 農情人2025年9月18日
-
段ボール、堆肥、苗で不耕起栽培「ノーディグ菜園」を普及 日本ノーディグ協会2025年9月18日