AIで温州みかんの糖度予測 早期予測で収益向上へ 農研機構2020年3月9日
農研機構は、AI (人工知能)により温州みかんの糖度を予測する手法を開発した。早期予測を生産・出荷に活用し収益向上をめざすとともに、適切な栽培管理を可能にすることで温州みかんの品質の向上に役立つと期待される。
糖度を予測する方法(クリックで拡大)
高品質な温州みかんを生産するには、摘果や水管理、施肥など様々な管理が必要であることから、その年の糖度をできるだけ早い時期に予測できれば効率的なみかん栽培に大きく役立つ。しかし、これまでの予測手法では十分な精度を得られず、正確な手法の開発が求められていた。
こうしたニーズを受けて、農研機構では、JAながさき西海、長崎県と協力し、AIを利用した温州みかんの新しい糖度予測手法を開発した。
方法は、機械学習の技術を用いて、出荷時の果実の糖度を、地区を単位として品種・系統別に予測するもの。前年の出荷時の糖度と当年の気象予報データ(気温、降水量、日射量、日照時間)を使用する。
検証には、JAながさき西海から提供された14の地区(JA支部)における出荷時糖度データ(2009~2019年)を利用。まず、実際の気象値を用いて2016~2019年の糖度を予測したところ、予測誤差は0.47度と高い成績が得られた。そして、実用上重要な気象の予報値を用いた予測では、7月20日時点の予報データで予測誤差0.61度の成績が得られ、実用上十分な精度と確認された。
収穫前に糖度が予測できると、収穫作業、販売、出荷の計画に利用できる。また、予測された糖度によって糖度を上げるための栽培管理の必要性を判断でき、これまで以上にみかんの品質の向上と生産安定を図る管理に活用できる。
農研機構は今後、この予測手法をシステム化し、産地が栽培に活用できるようにして、高品質のみかん生産、生産者の収益向上をめざす。
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