地中の生物をリアルタイムで可視化「Fiber-RADGET」開発 JAMSTEC×農研機構2021年7月13日
海洋研究開発機構(JAMSTEC)超先鋭研究開発部門の鄭美嘉特任研究員らは農研機構と共同で、地中の生物の動きをリアルタイムで可視化する装置「Fiber-RADGET (Fiber-radicle gadget)」を開発。光ファイバにより根の可視化を実現し、フィールドでのモニタリングへの応用によりスマート農業への利用が期待できる。
地球規模の環境変動が進む中、持続的な食料生産を続けるには、干ばつや養分欠乏などの環境ストレス下でも栽培できる作物を迅速に開発する必要がある。根は養水分を吸収するうえで必須の器官で、その形の違いは植物の環境ストレス耐性に大きく作用することから、近年、根系の改良に注目が集まっている。
改良には根の生長を調べる必要があるが、地中に存在する根を掘り起こさず、リアルタイムで観測することはこれまで困難とされていた。根の生長をリアルタイムで可視化する方法を確立するにあたり、時にコンクリートも突き破る根の力強さに着目し、根が土を押す応力から根のサイズや位置などを特定できるか検討した。
図1:装置製作の過程
根が土を押すと、それに合わせて地中が変形する。その変形を測定できる分布型光ファイバセンシングを用いることで、数値から根の状態を逆算するという理論のもと、実際に根の「可視化」を検証。細い根による微弱な応力でも検出できるよう高感度な光ファイバセンシング装置を開発し、地中など光が通らない不可視領域で植物根の生長を観測した。その結果、装置を柔らかく丈夫な円筒状に加工し(図1:装置製作の過程)、不可視領域に事前に設置することで、微小な動きを検出できることが判明した(図2:針金の検出例)。
(図2:針金の検出例)
この発明により、これまで不可視領域だった地中で、植物根の生長や小動物の活動、微生物の複合構造形成など幅広い生物の動きをリアルタイム観測することが可能となる。
同発明は、科学技術振興機構・戦略的創造研究推進事業研究領域「環境変動に対する植物の頑健性の解明と応用に向けた基盤技術の創出」における研究課題「ROOTomicsを利用した環境レジリエント作物の創出」と、ムーンショット型農林水産研究開発事業「サイバーフィジカルシステムを利用した作物強靭化による食料リスクゼロの実現」での研究開発の成果に係るもので、特許出願中。
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