労働力不足など農業課題解決へ 千葉でナシ栽培スマート農業の実証開始2021年9月9日
NTTデータ経営研究所と千葉県が代表機関を務めるコンソーシアム「千葉県ナシ栽培スマ農コンソ」は、千葉県市川市と成田市のナシ農園で、ロボットやAI、ICTを活用したスマート農業技術の体系化に向けた実証事業を始めた。
同実証事業では、労働負荷の軽減や気候変動などへの対応のため、(1)ヒトを自動で追従する運搬ロボット作業車、(2)ほ場ごとの気象データに基づく病害発生予測と農薬散布適正化ナビゲーション、(3)ナシ園の棚下から画像を収集し、AIが生育解析を行うシステムについて実証する。同事業は農林水産省事業「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」を活用している。
ニホンナシの産出額、栽培面積ともに全国1位の千葉県。同事業は、市川市と成田市にほ場を持つヤマニ果樹農園で実証に取り組んでいる。
二ホンナシは海外からの需要も高まっているため、生産量や品質の向上に期待が寄せられているが、一方で高齢化・労働力不足でその生産量は減少傾向にある。また、気候変動の影響による生育ステージのばらつきで、作業適期の判断が困難になっており、生産量や品質に影響が生じている。
具体的な課題としては、夏季に行う収穫作業は収穫台車を人力で押しながら果実を摘むため、重労働になっていること。また、病害虫の薬剤防除について、気候変動により適期実施するタイミングの判断が難しくなっている上、開花の時期も年々早まっていることから、従来通りの生育予測では農繁期の雇用調整や出荷予測も困難になっている。そこで、同コンソーシアムは、海外からのニーズにも合った高品質のナシを効率よく生産するため、ロボット、AI、ICTなどの先端技術を活用したデータ駆動型のスマート農業システム構築のため実証事業に取り組む。
課題と対応方針
◎事業内容と期待される成果
(1)ヒト自動追従ロボット作業車の開発・実証
【実証内容】
ヒトに自動追従するロボット作業車を導入し、収穫、せん定枝回収・結束のほか、除草剤散布モジュールを搭載し、汎用利用する。また、作業者が装着したウェアラブル端末の心拍変化などから軽労化の効果を検証する。
【期待される効果】
従来の人力で動かす収穫台車を電動のロボット作業車に代替し、汎用利用することで大幅な省力化を実現する。
(2)ほ場ごとの気象データに基づく病害発生予測と農薬散布適正化ナビゲーション
【実証内容】
1.アメダスなどでは取得できない詳細な気象データ微気象データ)を広範囲に収集するセンサネットワークを構築し、データを自動で栽培支援用スマホアプリ「梨なび」に反映させる。
2.「梨なび」アプリにより、黒星病の感染危険度をリアルタイムで予測し、農薬散布による防除適期をナビゲーションする仕組みを実用化する。
【期待される効果】
1.ほ場ごとの微気象データが自動で収集され、
アプリで分かりやすく把握できる。
2.微気象データ等から、各ほ場に合わせた細やかな黒星病等の発生予測と、防除計画の立案が容易になり、使用する農薬の種類の削減に貢献する。
(3)ナシの棚下から自動で画像を収集し、AIが生育解析を行うシステム
【実証内容】
ロボット作業車に搭載したカメラで棚下からの生育画像を撮影し、AIで解析。ナシの生育診断に活用する。
【期待される効果】
1.自動的に棚下からの画像を収集・分析をすることにより、生産者が感覚的に把握していた生育状況を、より客観的なデータとして把握することが可能となる。
2.微気象データを活用した黒星病感染危険度情報や、棚下画像のAI生育解析結果をクラウド上で共有し、リモートで普及員から指導を受けられるほか、生産者同士の情報共有を可能とする。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】てんさいの褐斑病が早発 早めの防除開始を 北海道2025年7月2日
-
日本の農業、食料、いのちを守る 「辛抱強い津軽農民」立つ 青森県弘前市2025年7月2日
-
「食と農をつなぐアワード」募集開始 優良な取組を表彰 農水省2025年7月2日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」JAおきなわ食菜館「とよさき菜々色畑」へおつかい JAタウン2025年7月2日
-
三菱マヒンドラ農機 ペースト施肥、紙マルチ田植機、耕うん作業機の販売強化2025年7月2日
-
外来DNAをもたないゲノム編集植物 作出を大幅に効率化 農研機構2025年7月2日
-
「2025年度農業生物資源ジーンバンク事業シンポジウム」開催 農研機構2025年7月2日
-
創立100周年記念プレゼントキャンペーン第3弾を実施 井関農機2025年7月2日
-
住友化学園芸が「KINCHO園芸」に社名変更 大日本除虫菊グループへ親会社変更2025年7月2日
-
フランス産牛由来製品等 輸入を一時停止 農水省2025年7月2日
-
【人事異動】ヤンマーホールディングス(7月1日付)2025年7月2日
-
長野県、JA全農長野と連携 信州産食材使用の6商品発売 ファミリーマート2025年7月2日
-
地域共創型取り組み「協生農法プロジェクト」始動 岡山大学2025年7月2日
-
埼玉県産農産物を活用「Made in SAITAMA 優良加工食品大賞2026」募集2025年7月2日
-
黒胡椒×ごま油でおつまみにぴったり「堅ぶつ 黒胡椒」新発売 亀田製菓2025年7月2日
-
近江米新品種オーガニック米「きらみずき」パレスホテル東京で提供 滋賀県2025年7月2日
-
外食市場調査5月度 2019年比96.9% コロナ禍以降で最も回復2025年7月2日
-
王林がナビゲート 新CM「青森りんご植栽150周年」篇を公開 青森県りんご対策協議会2025年7月2日
-
飲むトマトサラダ 素材を活かした「カゴメ野菜ジュース トマトサラダ」新発売2025年7月2日
-
愛知県豊田市と「市内産業における柔軟な雇用環境の実現にむけた協定」締結 タイミー2025年7月2日