再生可能資源で道路を丈夫に でんぷんから作ったアスファルト改質剤を開発 農研機構2022年6月14日
農研機構は、でんぷんを原料としたアスファルト改質剤「C-AG」を開発した。C-AGは、アスファルト中で繊維状に分散しアスファルトの耐流動性を向上させ、道路寿命を長くする効果を発揮。従来のアスファルト改質剤と比べ、改質アスファルト製造や道路施工に関連するエネルギー消費量が低く、温室効果ガスの排出量抑制が期待できる。
わだち掘れが生じた道路
でんぷんは米やトウモロコシなどに豊富に含まれる物質で、人体に重要な栄養源であるとともに、植物がでんぷんを蓄えるサイクルが短いことから優れた再生可能資源でもある。でんぷんはこれまでも繊維や製紙分野で活用されているが、近年、その他の分野でも化石資源に代わる素材として注目されている。同研究では、再生可能資源であるでんぷんから、道路の長寿命化や、道路舗装に関連して排出される温室効果ガス削減に貢献するアスファルト改質剤を開発した。
道路舗装に使われるアスファルトは、真夏の路面温度の60 ℃に達すると柔らかくなり流動性が高くなり、そこへ車が通ると路面に凸凹のわだち掘れができ、道路の修繕が必要となる。そこで、夏期路面温度付近でのアスファルトの耐流動性を向上させるため、石油系ポリマーをアスファルトに加え、アスファルトの粘弾性を改善したポリマー改質アスファルトが開発されてきた。しかし、石油系ポリマーをアスファルト中に分散させたり、ポリマー改質アスファルトを使って道路を施工したりするには180 ℃前後の高温が必要で、多量のエネルギー消費とそれに伴う温室効果ガスの排出、さらには過酷な作業環境が問題となっている。
そこで同研究では、アスファルトの耐流動性の改善とともに、より低い温度条件下での改質アスファルトの製造・施工を実現するアスファルト改質剤C-AG を開発した。アスファルト改質剤C-AG は、でんぷん由来の天然糖1,5-アンヒドログルシトールと脂肪酸を反応させ、高収率で大量に製造できる。C-AG は130 ℃以下の温度でアスファルトに分散し、冷えるとアスファルト中で繊維状の構造を形成する。この繊維を含むC-AG 改質アスファルトは、60 ℃でポリマー改質アスファルトと同程度の耐流動性をもつことが明らかとなった。
この技術は、夏期の路面温度下でもわだち掘れができにくくなるため、道路の寿命を延ばすとともに、道路施工に関わる温室効果ガス排出量の削減や作業環境の改善など、諸問題の解決に貢献できると期待される。
重要な記事
最新の記事
-
新品種から商品開発まで 米の新規需要広げる挑戦 農研機構とグリコ栄養食品2025年5月1日
-
米の販売数量 前年比で86.3%で減少傾向 価格高騰の影響か 3月末2025年5月1日
-
春夏野菜の病害虫防除 気候変動見逃さず(1)耕種的防除を併用【サステナ防除のすすめ2025】2025年5月1日
-
春夏野菜の病害虫防除 気候変動見逃さず(2)農薬の残効顧慮も【サステナ防除のすすめ2025】2025年5月1日
-
備蓄米 小売業へ2592t販売 3月末の6倍 農水省2025年5月1日
-
イモ掘り、イモ拾いモ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第338回2025年5月1日
-
地元木材で「香りの授業」、広島県府中明郷学園で開催 セントマティック2025年5月1日
-
大分ハウスみかんの出荷が始まる 大分県柑橘販売強化対策協議会2025年5月1日
-
Webマガジン『街角のクリエイティブ』で尾道特集 尾道と、おのみち鮮魚店「尾道産 天然真鯛の炊き込みご飯」の魅力を発信 街クリ2025年5月1日
-
5月1日「新茶の日」に狭山茶の新芽を食べる「新茶ミルクカルボナーラ」 温泉道場2025年5月1日
-
「越後姫」食育出前授業を開催 JA全農にいがた2025年5月1日
-
日本の米育ち 平田牧場 三元豚の「まんまるポークナゲット」新登場 生活クラブ2025年5月1日
-
千葉県袖ケ浦市 令和7年度「田んぼの学校」と「農作業体験」実施2025年5月1日
-
次世代アグリ・フードテックを牽引 岩手・一関高専から初代「スーパーアグリクリエーター」誕生2025年5月1日
-
プロ農家が教える3日間 田植え体験希望者を募集福井県福井市2025年5月1日
-
フィリップ モリス ジャパンとRCF「あおもり三八農業未来プロジェクト」発足 農業振興を支援2025年5月1日
-
ビオラ「ピエナ」シリーズに2種の新色追加 サカタのタネ2025年5月1日
-
北限の茶処・新潟県村上市「新茶のお茶摘み体験」参加者募集2025年5月1日
-
「健康経営優良法人2025」初認定 全農ビジネスサポート2025年5月1日
-
「スポットワーク」活用 農業の担い手確保事業を開始 富山県2025年5月1日