食用キノコ「トキイロヒラタケ」が色づくメカニズムを解明 近畿大学2024年10月8日
近畿大学農学部応用生命化学科准教授 伊原誠、准教授 福田泰久の研究グループは、埼玉医科大学医学部、産業技術総合研究所関西センターとの共同研究により、食用キノコである「トキイロヒラタケ」が色づくメカニズムを解明した。
トキイロヒラタケ
同研究グループは、トキイロヒラタケの色素タンパク質を精製して結晶化させ、X線結晶構造解析を行った。非常に高い分解能で色素タンパク質の構造を明らかにしたところ、タンパク質内部に、発色に必要となる「発色団」と考えられる化合物が結合していることが電子密度の状態から確認された。
また、この電子密度は、これまでに発色団と考えられてきた「3-H-indol-3-one」とは全く異なる形状であることもわかった。そこで、電子密度の形状と色素タンパク質との相互作用パターン、そして精密な質量分析から得た分子式の情報を統合し、トキイロヒラタケの色素タンパク質の発色団が「2-dehydro-3-deoxylaetiporic acid A」であることを明らかにした。
この物質は、別のキノコから精製された報告がある既知の脂肪酸で、アルコールなどに溶かすと黄色を呈することが知られているが、トキイロヒラタケは赤色を呈する。この矛盾を解明するため、分光光度計による解析、スーパーコンピューターを用いた高度な量子化学計算などを行ったところ、「2-dehydro-3-deoxylaetiporic acid A」は、トキイロヒラタケの色素タンパク質内ではゆがんだ構造をとっているため、化学結合の長さが変化し、赤色に見えていることが明らかになった。
同研究成果は、トキイロヒラタケの発色メカニズムを明らかにするとともに、タンパク質との結合により化合物の結合の長さに変化が生じ、その結果、色が変化するという前例がない知見を示し、色素化学分野の新たな基盤となると考えられる。
同件に関する論文は7月24日、アメリカ化学会が発行する『Journal of agricultural and food chemistry』に掲載された。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日