【特殊報】キュウリ退緑黄化病 県内で初確認 タバココナジラミの防除徹底を 福島県2024年12月24日
福島県病害虫防除所は、施設キュウリほ場でキュウリ退緑黄化病の発生を県内で初めて確認。これを受けて、12月24日に令和6年度病害虫発生予察特殊報第6号を発表した。
写真1:キュウリ退緑黄化病に感染した株と写真2:まだらに黄化した葉(提供:福島県病害虫防除所)
福島県病害虫防除所によると、10月に福島県中通り地方の施設キュウリほ場において、タバココナジラミの寄生と葉の退緑斑を確認。キュウリ退緑黄化病の発生が疑われた(写真1)ため、横浜植物防疫所に同定を依頼した結果、キュウリ退緑黄化病であることが12月に判明した。
県内のキュウリほ場で発生状況調査を実施したところ、複数地点においてタバココナジラミの寄生および同病害と思われる株の発生が確認された。
国内では、2004年に熊本県で初めて確認され、これまでに熊本県を含む27府県で特殊報が発表されている。
写真3:葉の黄化症状、写真4:下向きに巻いた葉、写真5:感染しているが無病徴の生長点
(提供:福島県病害虫防除所)
キュウリ退緑黄化病の発病初期は、葉に退緑小斑点を生じ、次第に斑点が増加・癒合し、まだらに黄化(写真2)、拡大して葉脈間が退緑した黄化葉となる(写真3)。また、黄化葉は、葉縁部が下側に巻く症状を呈する(写真4)。黄化症状は中位葉から下位葉に現れやすく、感染しても生長点付近の葉には症状は認められない(写真5)。
病害は、定植直後から収穫終了時まで発生するが、感染時期が早いほど草勢低下による減収が大きいとの報告がある。
写真6:タバココナジラミ成虫と写真7:タバココナジラミ幼虫(提供:福島県病害虫防除所)
同ウイルスは、タバココナジラミ(写真6、7)により媒介する。同種が罹病植物を吸汁することで同ウイルスを獲得し、半永続的に伝搬能力を保持。経卵伝染、種子伝染、汁液伝染および土壌伝染はしないと報告されている。
写真8:オンシツコナジラミ成虫と写真9:オンシツコナジラミ幼虫(提供:福島県病害虫防除所)
同病害は、キュウリ黄化病と症状が酷似しており、肉眼による診断は難かしい。キュウリ黄化病はオンシツコナジラミ(写真8、9)によってウイルスが媒介される。同ウイルスは、主にウリ類に感染し、国内ではキュウリ以外にメロン、スイカで発生報告がある。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
(1)育苗~定植前
〇育苗中に感染すると症状が激しくなるため、ハウスの開口部(天窓含む)に0.4mm目合の防虫ネットを設置し、育苗ハウス内にタバココナジラミが侵入しないよう注意する。
〇ハウス周辺の雑草を防除し、タバココナジラミの寄生と増殖を防止する。特に雑草のカラスウリは伝染源となる可能性があるため、塊根まで完全に除去すること。
〇定植前の育苗期にコナジラミ類防除のための薬剤を処理する(表1)。
表1:キュウリの育苗期に使用可能なコナジラミ類対象薬剤の一例
(2)栽培期間中
〇定植後は、タバココナジラミの防除のため薬剤散布を徹底する(表2)。
〇タバココナジラミは薬剤抵抗性が発達しやすいため、同一系統薬剤の連用を避ける。
〇疑わしい病徴の株はすぐに除去し、コナジラミ類が寄生していないことを確認後、ほ場外へ持ち出して処分する。
表2:キュウリの栽培期間中に使用可能なコナジラミ類対象薬剤の一例
(3)栽培終了後(施設栽培
〇すべての株を抜根または地際部を切断した上で、キュウリが完全に枯れあがってから、春や秋期では5~6日程度、夏期は3~4日程度密閉して蒸し込み、タバココナジラミを死滅させる。蒸し込みの目安としては、40℃以上で1日7時間程度確保する。
〇キルパーによるコナジラミ類まん延防止対策を実施する。
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