作物病害の原因となる植物群落の結露と気象条件の関係を定量化 農研機構2025年3月10日
植物群落の結露は、いもち病などの病害発生の原因になる。農研機構と北海道大学低温科学研究所は、熱と水蒸気の出入りを考えた理論的な方法によって、植物群落の結露のしやすさ(結露速度)と気象条件との間の関係を世界で初めて明らかにした。

作物病害を引き起こす糸状菌やバクテリアは、結露や降雨などによる濡れが原因で植物体に感染しやすくなる。国内のコメ生産では、植物体の濡れが原因となって「いもち病」による被害がたびたび生じている。
作物の高度な病害予測のためには、作物の群落における結露の発生を正確に把握する必要があるが、これまで、結露が発生するための気象条件や植物群落に付着する結露量と気象条件との間の定量的な関係は整理されていなかった。そこで農研機構と北海道大学低温科学研究所は共同で、熱と水蒸気の出入りを考えた、熱収支の原理に基づく理論的な方法によって、植物群落の結露のしやすさ(結露速度)と気象条件との間の関係を整理。両者の関係を世界で初めて定量的に明らかにした。
植物群落の結露速度は3つの気象条件(気温、相対湿度、有効放射量)と群落の交換速度(群落と大気との間の熱交換の効率)の違いに応じて大きく変化し、交換速度は植物の葉のサイズや茂り具合と風速によって変化する。また、結露は相対湿度が特定の値より低くなると発生せず、その値は気温と有効放射量によって変化する。
同研究で得られた作物群落の結露速度と気象条件との間の定量的な関係を用いて、群落に付着する結露量や濡れ時間を、気象データから簡易かつ高精度で推定することが可能となった。の手法を作物の病害発生予測や栽培管理に利用することで、各種農作物の安定生産や高品質化が期待される。
同成果は、『Journal of Agricultural Meteorology』(2023年1月10日)と、『Agricultural and Forest Meteorology』(オンライン版2024年5月29日)に掲載された。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(166)食料・農業・農村基本計画(8)農業の技術進歩が鈍化2025年11月1日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(83)テトラゾリルオキシム【防除学習帖】第322回2025年11月1日 -
農薬の正しい使い方(56)細菌病の防除タイミング【今さら聞けない営農情報】第322回2025年11月1日 -
酪農危機の打破に挑む 酪農家存続なくして酪農協なし 【広島県酪農協レポート・1】2025年10月31日 -
国産飼料でコスト削減 TMRと耕畜連携で 【広島県酪農協レポート・2】2025年10月31日 -
【北海道酪肉近大詰め】440万トンも基盤維持に課題、道東で相次ぐ工場増設2025年10月31日 -
米の1等比率は77.0% 9月30日現在2025年10月31日 -
2025肥料年度春肥 高度化成は4.3%値上げ2025年10月31日 -
クマ対策で機動隊派遣 自治体への財政支援など政府に申し入れ 自民PT2025年10月31日 -
(459)断食:修行から管理とビジネスへ【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年10月31日 -
石川佳純が国産食材使用の手作り弁当を披露 ランチ会で全農職員と交流2025年10月31日 -
秋の果実王 旬の柿を堪能 福岡県産「太秋・富有柿フェア」開催 JA全農2025年10月31日 -
「和歌山県産みかんフェア」全農直営飲食店舗で開催 JA全農2025年10月31日 -
カゴメ、旭化成とコラボ「秋はスープで野菜をとろう!Xキャンペーン」実施 JA全農2025年10月31日 -
食べて知って東北応援「東北六県絆米セット」プレゼント JAタウン2025年10月31日 -
11月28、29日に農機フェアを開催 実演・特価品販売コーナーを新設 JAグループ岡山2025年10月31日 -
組合員・利用者に安心と満足の提供を 共済事務インストラクター全国交流集会を開催 JA共済連2025年10月31日 -
JA全農と共同開発 オリジナル製菓・製パン用米粉「笑みたわわ」新発売 富澤商店2025年10月31日 -
【スマート農業の風】(20)GAP管理や農家の出荷管理も絡めて活用2025年10月31日 -
農業経営効率化へ 青果市況情報アプリ「YAOYASAN」に分析機能追加 住友化学2025年10月31日


































