「アグリ・ニュートリション基本計画」を策定 三洋化成×ファーマフーズ2021年9月17日
三洋化成工業とファーマフーズは、世界の農業危機の解決に向け、両社の開発・技術力を融合させた「アグリ・ニュートリション基本計画」を策定。三洋化成の界面制御技術とファーマフーズの発酵抽出技術の融合により、バイオスティミュラントを活用した新たなペプチド農業を確立し、宮崎県新富町で本格的に農業支援を展開する。
両社は3月15日に資本業務提携を締結し、4つの共同プロジェクトチームを発足。今後の事業展開を協議する中、今回のプロジェクトの一つである「アグリ・ニュートリション事業」で基本計画を策定した。
日本国内の農業を取り巻く環境は、農業従事者の高齢化や担い手不足、異常気象などの課題を抱えている。世界では、農業での化学肥料・農薬によって排出される温暖化ガスの削減や水質・土壌汚染の低減が大きな課題となるなど、環境への配慮が強く求められ、農業従事者にとって、今まで以上に厳しい事業環境となる事が予想される。
こうした課題に対し、農林水産省は化学肥料や化学農薬の低減、有機農業への転換を促す「みどりの食料システム戦略」を掲げ、担い手に補助金を出す新たな制度作りを進めている。一方、欧米では脱炭素や食料安全保障の確立に向けた「環境保全型農業」への大型支援策が取られ、日本でも脱炭素や食料安全保障の確立等の動きに向けた対応が必要となっている。
両社が策定した「アグリ・ニュートリション基本計画」は、環境にやさしく植物にとって必要な成分であるペプチドやアミノ酸などを、効率的な方法で植物に届け、植物が本来持っている収量・品質ポテンシャルを最大限に引き出すことで、環境負荷の高い肥料や農薬の使用量低減等に繋げていく。
「アグリ・ニュートリション基本計画」における両社の取組としては、(1)バイオスティミュラントによる農産物の収量/品質/耐性向上、(2)界面制御技術によるバイオスティミュラントの散布効率の最大化、(3)有用加工技術による未利用部位の高付加価値化の3つを柱に展開。ファーマフーズはバイオテクノロジーを根幹とした農作物の高付加価値化技術とともに、通信販売事業を通じて得た流通ノウハウを活用。また、三洋化成は界面制御技術を根幹としたペプチド農業などの技術を確立する。
今後のスケジュールは、宮崎県新富町で、新たな農業システムの構築を目指す実証実験を2022年に開始。2024年に、両社の技術を融合したバイオスティミュラントによる多収性、耐性、機能性を高めた高付加価値作物を開発し、2025年には、高付加価値作物の未利用部位由来の高機能健康食品及び化粧品をファーマフーズの通販チャネルで販売開始する。また、2026年にはターゲット作物の拡大、6次産業化、ブランド化を推進し、2030年に向けて持続可能な農業システムの開発をめざす。
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