植物活性剤で茶の収穫量3割増を実証 鹿児島のJAあおぞらと太陽油化2022年8月9日
太陽油化が開発した有機JAS資材の植物活性剤「東京8(トウキョウエイト)」を茶の栽培に利用した比較試験栽培を行っていた鹿児島県のJAあおぞらは、このほど一番茶で101~108%、二番茶で122~136%の収穫量増加を確認したと発表した。
植物活性剤「東京8(トウキョウエイト)」
「東京8」は東京23区内の汚水汚泥処理など廃棄物のリサイクルを本業とする太陽油化が、汚泥処理を効率よく進める集団微生物として発見したものを応用して商品開発した。この集団微生物は不溶性の栄養成分を水溶性にして植物が吸収できるようにするなど、植物が生育しやすい土壌改良にも効果を発揮する。
約10年前から農業分野で実験を重ね2017年に肥料登録を行い、22年4月には有機JAS認定資材として適合性評価を受け認定資材としても登録を完了した。
JAあおぞらは、茶の有機栽培で輸出を推進しており、「東京8」に注目して慣行栽培との比較試験栽培を開始した。
試験は土壌のみ、葉面のみと、土壌と葉面の3つの散布法で収穫量を比較した。
その結果、収穫2カ月前に1回だけ散布した一番茶では101%から108%と微増だったが、一番茶収穫後に再度散布した二番茶では、122%から136%へと顕著に増えた。とくに土壌と葉面の両方への散布が効果的であることが示された。
JAあおぞらの茶業課の取違弘一調査役によると「芽数が増えた」ことが収量アップにつながったという。同JAは2009年からIPМ(総合的病害虫管理)にいち早く取り組み、その後も天敵利用など環境に配慮した農業を推進し、有機栽培への転換も進めてきた。
「東京8」は汚泥処理技術から生まれた植物活性剤であり「SDGsも睨んだ取り組み」位置づける。
肥料価格高騰で20㎏1400円だった複合化成肥料(オール14)が2倍以上3000円以上となり経営に打撃となる。この東京8を活用することで収穫量が伸びれば所得増につながると期待する。栽培を通じて今後は「肥料を減らしても東京8を使えば、十分な収量が得られることを示せれば」と言う。
「東京8」は10lで1万2500円(税別、送料込み)。10aに満遍なく5回散布する。10lで2作分の量だという。太陽油化の石田陽平専務は普及のためにサンプル提供をしていく考えだという。
JAでは千葉県のJA西印旛でイチゴ、石川県のJAはくいで落花生の実証試験が予定されている。
また、インドネシアを皮切りにアフリカ10か国以上で栽培実験が開始されている。インドネシアでは通常農法の1.4倍以上の収穫を実現したという。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(173)食料・農業・農村基本計画(15)目標等の設定の考え方2025年12月20日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(90)クロロニトリル【防除学習帖】第329回2025年12月20日 -
農薬の正しい使い方(63)除草剤の生理的選択性【今さら聞けない営農情報】第329回2025年12月20日 -
スーパーの米価 前週から10円上がり5kg4331円に 2週ぶりに価格上昇2025年12月19日 -
ナガエツルノゲイトウ防除、ドローンで鳥獣害対策 2025年農業技術10大ニュース(トピック1~5) 農水省2025年12月19日 -
ぶどう新品種「サニーハート」、海水から肥料原料を確保 2025年農業技術10大ニュース(トピック6~10) 農水省2025年12月19日 -
埼玉県幸手市とJA埼玉みずほ、JA全農が地域農業振興で協定締結2025年12月19日 -
国内最大級の園芸施設を設置 埼玉・幸手市で新規就農研修 全農2025年12月19日 -
【浜矩子が斬る! 日本経済】「経済関係に戦略性を持ち込むことなかれ」2025年12月19日 -
【農協時論】感性豊かに―知識プラス知恵 農的生活復権を 大日本報徳社社長 鷲山恭彦氏2025年12月19日 -
(466)なぜ多くのローカル・フードはローカリティ止まりなのか?【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月19日 -
福岡県産ブランドキウイフルーツ「博多甘熟娘」フェア 19日から開催 JA全農2025年12月19日 -
α世代の半数以上が農業を体験 農業は「社会の役に立つ」 JA共済連が調査結果公表2025年12月19日 -
「農・食の魅力を伝える」JAインスタコンテスト グランプリは、JAなごやとJA帯広大正2025年12月19日 -
農薬出荷数量は0.6%増、農薬出荷金額は5.5%増 2025年農薬年度出荷実績 クロップライフジャパン2025年12月19日 -
国内最多収品種「北陸193号」の収量性をさらに高めた次世代イネ系統を開発 国際農研2025年12月19日 -
酪農副産物の新たな可能性を探る「蒜山地域酪農拠点再構築コンソーシアム」設立2025年12月19日 -
有機農業セミナー第3弾「いま注目の菌根菌とその仲間たち」開催 農文協2025年12月19日 -
東京の多彩な食の魅力発信 東京都公式サイト「GO TOKYO Gourmet」公開2025年12月19日 -
岩手県滝沢市に「マルチハイブリッドシステム」世界で初めて導入 やまびこ2025年12月19日


































