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特集:JA全農がめざすもの

2014.12.03 
【JA全農がめざすもの】営農販売企画部・TACの活動 産地復活めざし奮闘するTAC一覧へ

・生産振興こそJAの仕事
・ネギ 出荷・調製施設で生産力アップ
・トマト 規模拡大で反収アップ
・面積拡大 農地はJAが確保する
・労働力確保 農作業ヘルパーを紹介
・ミーティング 組合長も出席し、現場の声を反映

 TACが誕生して7回目のパワーアップ大会が12月4日に開催される。全国の多くのJAでTACが地道に着実に担い手や生産者と向き合うことで、新しい方向が生まれてきている。今回は千葉県のJA長生に取材した。

◆生産振興こそJAの仕事

 JA長生は、千葉県の九十九里海岸南部に面する一宮町、白子町、長生村から内陸部の茂原市、睦沢町、長柄町、長南町の長生郡全域1市5町1村を管内とする広域JAとして平成13年1月に誕生した。
 管内耕地面積の75%が水田で全農家戸数の90%が兼業農家だ。農産物は「コシヒカリ」を中心としたコメのほか、トマト、キュウリ、メロン、イチゴといった施設園芸、タマネギ、長ネギなどの露地野菜、さらに一宮のナシ、白子の水耕ネギ、サラダ菜、長南のレンコン、山間地域の椎茸、そしてガーベラやシクラメン、バラなどの花き園芸と、房総半島という地域と気候を活かし多彩だ。
 河野豊組合長は、組合員・新規就農者増加による「栽培面積増加・出荷量増加・販売力強化による所得の向上」を掲げ、生産振興こそがJAの仕事だと位置付けている。

 

◆ネギ 出荷・調製施設で生産力アップ

出荷・調製施設での根切り・葉切り作業 例えば、長生管内のネギは20年前には70万ケースを出荷していたが、13万ケースにまで減少した。その要因は生産者の高齢化や若手担い手不足もあるが、個別指導巡回の不足などから地域の実態把握ができなくなり、組合員との関係が希薄になって「組合員のJA離れを招いた」こともあったと農産園芸部担い手支援課の川城茂樹課長。
 産地維持に危機感をもったJAでは、土壌診断に基づく適正施肥の実施など圃場巡回を行うなどすることで「生産者もJAを見直してくる」。
 さらにTACが、関係機関やJA全農千葉県本部(全農ちば)と連携、生産者全員参加型の「長生ネギの今後を考える会」を発足し、産地の将来方向を協議した。とくに規模拡大意向のある若手生産者や水稲との複合経営(水稲プラスワン)を考えている生産者に、反収アップ・品質向上に向けた栽培指導を行うなどし、20万ケース出荷まで戻ってきた。
 さらに、要望が多かった「ネギ出荷・調製施設」をJA高根支所内に設置した。この施設は、泥付き搬入されたネギを、皮むき〜正品までを一貫して行うもので、生産者がこうした作業にかかる時間を大幅に軽減したことで、規模拡大に専念できる体制を整備することを可能にした。
 この施設では1日約100ケースの出荷が可能となり、ネギ苗供給を含めた生産・販売の分業システムが構築されたといえる。さらに販売面でも、従来からの市場出荷だけではなく、調製施設の機能を活用し、業務加工用ネギの販売先としてラーメンチェーン店を確保し、生販マッチングに取り組んでいる。
 施設出荷目標1日200ケースに向けたネギの品質向上対策の徹底、出荷期間の延長をはかるための夏ネギの生産指導などにも取り組んでおり、現在の約20万ケースの出荷数量を、3年後には40万ケースにし、産地の復活を目指している。

(写真)
出荷・調製施設での根切り・葉切り作業

 

◆トマト 規模拡大で反収アップ

 JA長生は、かつては200万ケースを越える出荷があり、全国でも常にベスト5に入る単価をだしているトマトのブランド産地でもある。
 トマトは過当競争といわれる時代になっているが、現在でも「長生(ながいき)トマト」として年間100万ケースを出荷しているが、迫りくる生産者の高齢化と担い手不足による生産量の減少、農家所得の低下が懸念されている。
 そこでTACが関係機関と連携して「生産力強化対策プロジェクトチーム」を立ち上げ、「反収アップによる10万ケース増」「規模拡大による10万ケース増」を部会の共通目標に設定した。
 その具体的な取組みとして、定期的な全戸巡回指導を実施。反収アップに取りくみやすい養液栽培生産者を中心に環境制御型システム導入、大型ハウス導入による規模拡大モデル経営体の育成などを行い、25年度は前年を6万ケース上回る104万ケースを出荷した。

 

◆面積拡大 農地はJAが確保する

 また新たな展開として若手生産者5名によるトマト団地5000坪が国庫事業としてスタートする予定など、生産力強化に向けた動きがはっきりと見え始めている。
 JAの生産振興の一環として打ち出されている「面積拡大対策」では、JAが自ら農地を借り栽培面積を拡大したい組合員や新規就農者に貸与することも行っている。園芸用畑地を今年度は1ha確保したが、これを5haにまで増やしたいと川城課長は考えている。

 

◆労働力確保 農作業ヘルパーを紹介

タブレット端末で現場で情報提供 また規模拡大や生産者の高齢化による労働力補完を求める声が多いことから、農作業ヘルパー組合の設立を「月次担い手責任者会議」(TACリーダー会議)で決定し、26年1月JAの参事や関係部署責任者、千葉県農業会議、JA県中央会、全農ちばをメンバーに「農作業ヘルパー組合設立プロジェクト」を立ち上げ、具体的な検討と視察などを行い「JA長生あぐり・アシスト農業無料職業紹介事業」として担い手を支援することを決定。厚労省の認可を受けてスタートしている。
 新聞折り込みやホームページへの掲載など積極的にこの事業を展開し、すでに数名が求人者とのマッチングを終え働き始めている。
 JA長生のTACは現在9名で、各支所に配置され、タブレット端末に必要な情報を入れて、担い手1戸当たり月に平均2回は訪問し、担い手にタイムリーな情報提供を行っている。
 各支所で「週次ミーティング」を担い手責任者の指導経済課長と担当TACで実施。さらに「月次ミーティング」を本所で、組合長、専務、農産部長、担い手支援課長、園芸販売課長、購買課長、各支所指導経済課長、全農ちばが出席して実施されている。

(写真)
タブレット端末で現場で情報提供

 

◆ミーティング 組合長も出席し、現場の声を反映

 ここでTACから担い手からの意見や問題などが報告され、組合長はじめ役員にその声が反映され、具体的なJAとしての対応・対策に反映され、TACの活動をバックアップしている。
 河野組合長は「組合員と話ができないものは辞めろ」と常日頃いっており、生産者と直に接触するTACの活動を重要視しているということだ。
 川城課長は、TACの活動をより有効にするためには、現在の地域ごとの担当制から品目別担当にしたらどうだろうかとも考えている。例えばネギ担当ならば、地域(支所)の枠を超えてネギの問題に対処できるからだ。
 いずれにしても、農家の所得を向上させるために、JA長生でもTACのみなさんが日夜奮闘し、組合員とJAとの信頼関係を築き上げていることを実感した。

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