【TPP】署名式に高鳥内閣府副大臣が出発2016年2月3日
内閣府の高鳥修一副大臣(経済財政政策担当)は2月2日、4日にニュージーランドで行われるTPP協定の署名式に向けて出発した。
甘利前大臣の辞任にともない政府代表として署名式に出席する。
高鳥副大臣は「交渉に参加した12か国が一堂に介して署名式を行う。これによって協定文が確定する」と署名式の意義を話したうえで「TPP交渉で世界の4割(を占める)経済圏が誕生した。一方、(日本は)米を中心にする農業分野で多数の関税撤廃の例外を獲得できた。これは3年にわたり交渉にあたってきた甘利前大臣の功績が非常に大きい。甘利前大臣が示してきた強い交渉姿勢を胸に署名式を迎えたい」などと語った。
署名式の前には閣僚会合が開かれることになっており、高鳥副大臣は「各国がそれぞれ国内手続きが順調に進むように努力してほしいと申し上げたい」と話した。また、会合では、新たにTPPに参加したいという国や地域への対応も議題になる見通しだという。
◇ ◇
TPP協定は「署名」の後、各国で条約を承認する「国内手続き(批准)」を経て「発効」に至る。
TPP協定は全12か国が国内手続きを終え、手続きが完了したことを書面で通知した日の60日後に発効することになっている。
署名日から2年以内に12か国が国内手続きを完了しない場合、「12か国のGDP合計の85%以上」かつ「6か国以上」が通知すれば、その60日後に発効する。
12か国のGDP比率は米国62.1%、日本16.5%となっていることから、TPPの発効には日米両国を含む6か国の国内手続きの完了が不可欠となっている。
米国では署名から105日以内に国際貿易委員会(ITC)によるTPP協定の経済的な影響評価を議会に提出することが義務づけられている。2月4日に署名するとITCの分析レポートは5月18日までに提出されることになる。また、米国のTPA法(貿易促進権限法)では、TPP協定の議会承認手続きについて▽議会との協議を条件とする、▽要請があればいかなる議員とも会合を持つ、▽米国法と矛盾するどの条項の適用も効力を持たない、などの規定がある。
米国商工会議所(USCC)や全米製造業協会(NAM)など主要な経済団体は1月に基本的にTPP合意を支持する姿勢を示したが、米国議会の幹部の多くは、協定の全容が明らかになってから評価するとの姿勢と伝えられているほか、2月予備選挙が始まった大統領選挙の主要な候補者はTPPに懐疑的な見解を示していることから、米国議会での批准手続きは11月の大統領選挙後になるとの見方が強まっている。
わが国では国会審議が本格化しTPPに関する審議も行われる。昨秋の大筋合意後、政府は臨時国会を開会せず、農業分野の国内対策議論を先行させたが、TPP協定が国民生活全体に与える影響など分析し十分な審議を行うことが国会に求められる。
(写真)署名式出発前に取材に応じる高鳥副大臣 2月2日夜 内閣府で。
※高鳥修一氏の「高」は正式には異体字です。
(関連記事)
・【シリーズ:TPPを考える】
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