TPP批准断念を コープネット事業連合2016年11月29日
生協のコープネット事業連合は、11月28日、加盟生協と同連合の理事長連名で、TPP協定の承認案および関連法案について、今国会では成立させないことを強く求める意見書を政府に送った。
この意見書では、△十分な情報提供がされず、性急で拙速な進め方で国会審議が進められていること。△生協としてくらしを守る立場から、食料の安定確保、国内農業の再生・強化など5項目を政府に要請したが、明確に応えられたものはないこと。△トランプ次期米国大統領がTPPの離脱を明言し、日本がTPP協定の承認を急ぐ理由がない、ことなどから、「政府に対し、採決を断念しTPP協定の承認案および関連法案を今国会で成立させないことを強く求めます」としている。
意見書の全文は以下の通り。
TPP協定の承認案等について、今国会で成立させないことを強く求めます
TPP協定の承認案および関連法案について、国民への十分な情報提供もされないまま、国民的議論を深めることなく、性急かつ拙速な進め方によって衆議院で可決し、現在参議院で審議されている状況に、強い懸念を抱かざるを得ません。地方公聴会をはじめ、各方面から多くの問題点や疑問点が指摘されていながら、政府は守秘義務を楯にして情報を十分に開示せず、かみ合った議論を行っていません。
平成25年4月、私たちはTPP協定について、生協として組合員のくらしを守る立場から、(1)わかりやすい情報の公開、(2)食料の安定確保、(3)国内農業の再生・強化、(4)食品安全基準の遵守、(5)国民皆保険および共済制度の維持の5項目を政府に要請しました。しか
し、現在まで、これらすべての項目について明確に応えられたものはありません。また、ISD条項が国家主権を脅かすのではないか、ラチェット規定は歯止めなき規制緩和につながるのではないか、サイドレターには何が盛り込まれ決められるのかなど、まだまだ疑問
や懸念材料も多く、国民の不信と不安を払拭することはできていません。
トランプ次期アメリカ大統領は、来年1月の就任日にTPP協定からの離脱宣言を行うことを明言しました。TPP協定に大きな役割と影響力のあるアメリカの離脱で、協定の発効が極めて難しくなる可能性が濃厚です。こうした情勢を勘案しても日本がTPP協定の承認を急ぐ理由はありません。
私たちは、世界の自由貿易や経済連携には各国の相互互恵と持続可能な社会を目指す視点と、それを支えるルールこそ大切であり、そのためには国民的視点に立った十分な国会審議が必要であると考えます。
現時点の情報公開レベルや国会における審議状況を踏まえると、今国会における採決は、あまりにも困難であると考えます。私たちは政府に対し、採決を断念しTPP協定の承認案および関連法案を今国会で成立させないことを強く求めます。
以上
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