【コラム・ここがカンジン】JA合併はなぜ進められたか2014年2月21日
何事にも押さえておきべき肝要のポイントがある。それを外すと努力が徒労に終わり、熱意が空回りすることも珍しくない。総合JA研究会を主宰する福間莞爾氏に随時、JAや農政を考える場合の要点を述べてもらう。
JA合併はなぜ進められたのか。その転機は、1000JA構想を打ち出した1988年の第18回JA全国大会「21世紀を展望する農協の基本戦略」だった。この構想は、91年の第19回JA全国大会での「農協・21世紀への挑戦と改革」を経て実現されていく。この大会では、JAは1000JA構想を実現し、系統農協を従来の3段階から2段階へ再編することを提唱した。
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合併には賛否両論がある。JAの経営的要請から合併を不可避と考える意見、他方、合併は組合の民主的運営に反するとして反対する意見である。もちろん両論とも、それぞれの根拠があり、一概にどちらが良いとは言い切れない面がある。
しかし現実的には、1000JA構想が採択され、JAグループは組織をあげて合併に取り組むことになった。
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この結果、JA数は703(2014年1月1日現在)となり、予想を上回るペースで進んだ。合併は、金融自由化への対応や営農関連の施設整備、人材の確保(特に職員)のために行われた。とくに、JAは信用事業を兼営しており、その社会的存在から経営基盤を盤石にすることが求められ、また、将来的に組合員の付託に応えていくためには、一定の資金の確保や優秀な人材をJAに揃えることが必要との認識があった。このような要請のもとで進められたのが合併であり、組織整備の基本は、単位JAの体制整備には、大きく二つの方向がある。一つは、JAの活動基盤を単位JAとし、連合組織はこれを補完するという立場であり、もう一つは、JA組織をタテ割りに再編成し、全国連が本店、単位JAは全国連の支店とする立場だ。言うまでもなく、現在の組織整備はこのうちの最初の、JA本店、連合組織はその補完という立場に立って行われている。
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言い換えれば、「単位JAの水平統合を基本に、連合組織を垂直統合する」というのが、組織整備の基本図式だ。JA合併が進まなければ、相対的に連合組織の力は巨大となる。事業は連合会主導で、単位JAは単なる連合会の事業推進の出先という方向は、協同組合としてとるべき組織再編の姿ではない。したがって、合併はJA主導の組織運営を進めて行くうえでも必要とされる対策でもあった。
このようにJAの場合、合併は単に単位JAの問題だけではなく、連合会を含めてそのあり方を考えなければならない課題だったのだ。その意味で、自立JAの確立こそが合併の基本命題なのである。これからのJAを考える場合、このことをしっかり押さえておくことが肝要である。
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