【コラム・季節はずれの成人式にひとこと】トキ栄えて人間は?2014年9月17日
新潟県の佐渡島では、1月でなく、8月お盆の帰省を利用して、成人式を行うようになった。東京や新潟へ進学した学生も就職した青年もお盆休みを利用して、ふるさと佐渡島へ帰る。その成人たちを待ち構えて市役所主催で、成人式を挙行している。
平成5年4月2日以降平成6年4月1日生まれの新成人は630人。その日参加した成人は507人で出席率80%だった。市長、市議会議長、県選出の国会議員が祝辞を述べる。最後は新成人の誓いの言葉で式典は終了する。
◇ ◇
平成の大合併の以前、10年前までは市町村主催のこじんまりした成人式だった。小中学が一緒だからお互い友人・隣近所の顔見知りだった。だが佐渡島全体の成人が集められると、知らない人も多い。507人が旧市町村毎に地区割りされて座る。高校も佐渡島に6つあった時に卒業しているから、地縁が薄い。市長は「日本の896の市町村がいずれ消滅するという元総務相の増田レポートがある。この佐渡島もその中に入る。そんなことのないように皆さんと一緒にこの島を守りましょう」と悲痛な訴えをした。
少子化を止めるため、島を出ないでくれ、島を出た成人もUターンして島で子供を生んでくれとの訴えである。トキの舞う豊かな自然と、おいしいお米がとれる、海の幸、山の幸に恵まれ、島内での自給自足は可能である。
◇ ◇
しかし、毎年高校卒業生の90%は未来に希望を求めて島外都市へ出る。東京方面が80%位だろう。その傾向は長年続いている。新成人に言わせれば、生まれた島に居たくとも、働く場所がない、市役所はリストラ中、小中学校は生徒が減少、閉校と統合で宿泊施設になった校舎もある。学校の先生も、事務職も不要。島内の物つくり企業は物流コストが高くつき、島外へ出る傾向にある。農家の跡継ぎも将来が厳しい。がんばっている地元企業はJAと老人介護施設と観光ホテル等ぐらいか?
◇ ◇
佐渡島は毎年千人の人口減が続いている。現在6万人を切る人口だから60年後には住民ゼロ、無人島になる計算だ。政府は、「地方創生」のために総動員して対策を講じていくという。早く実施しないと、「トキ栄えて人間亡ぶ島」になってしまう。
重要な記事
最新の記事
-
地域複合農業戦略に挑む(2)JA秋田中央会会長 小松忠彦氏【未来視座 JAトップインタビュー】2024年4月19日
-
農基法改正案が衆院を通過 賛成多数で可決2024年4月19日
-
【注意報】さとうきびにメイチュウ類 伊是名島で発生多発のおそれ 沖縄県2024年4月19日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:JA水戸 那珂川低温倉庫(茨城県) 温湿度・穀温 適正化徹底2024年4月19日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ対策を万全に 農業倉庫基金理事長 長瀬仁人氏2024年4月19日
-
食農教育補助教材を市内小学校へ贈呈 JA鶴岡とJA庄内たがわ2024年4月19日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第97回2024年4月19日
-
(380)震災時は5歳【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年4月19日
-
【JA人事】JA道北なよろ(北海道)村上清組合長を再任(4月12日)2024年4月19日
-
地拵え作業を遠隔操作「ラジコン式地拵機」レンタル開始 アクティオ2024年4月19日
-
協同組合のアイデンティティ 再確認 日本文化厚生連24年度事業計画2024年4月19日
-
料理酒「CS-4T」に含まれる成分が代替肉など食品の不快臭を改善 特許取得 白鶴酒造2024年4月19日
-
やきいもの聖地・らぽっぽファームで「GWやきいも工場祭2024」開催2024年4月19日
-
『ニッポンエール』グミシリーズから「広島県産世羅なしグミ」新発売 JA全農2024年4月19日
-
「パルシステムでんき」新規受付を再開 市場の影響を受けにくい再エネ調達力を強化2024年4月19日
-
養分欠乏下で高い生産性 陸稲品種 マダガスカルで「Mavitrika」開発 国際農研2024年4月19日
-
福島県産ブランド豚「麓山高原豚」使用『喜多方ラーメンバーガー』新発売 JAタウン2024年4月19日
-
微生物農業資材を用いた大阪産の減肥料栽培で共同研究開始 ナガセケムテックス2024年4月19日
-
栃木県真岡市産バナナ「とちおとこ」使用「バターのいとこ」那須エリア限定で新発売2024年4月19日
-
大阪泉州特産「水なす」農家直送で提供開始「北海道海鮮にほんいち」2024年4月19日