【森島 賢・正義派の農政論】国民民主党の尊厳死問題2018年9月3日
国民民主党の代表選がたけなわの中、唐突に尊厳死問題が浮かび上がり、マスコミをにぎわせている。
いまなぜ尊厳死なのか。この問題が、現在の政治問題の中で、最も重要かつ最も緊急の問題なのか。多くの人が戸惑っている。
ここでは、この問題が重要ではない、といいたいのではない。緊急ではない、といいたいのでもない。政策の第一に掲げていることに疑問を呈したいのである。マスコミが勝手に騒ぎ立てているわけではない。同党自身の問題である。
同党は、綱領的文書である「私たちの理念と政策の方向性」の中の「……ビジョンと政策」で、第一項目に尊厳死を取り上げている。それほどに、同党は尊厳死の問題を重要と考えている。
いったい、誰がこの問題を提起しているのか。
同党の、この政策の内容は、尊厳死には法的問題があるので、法整備をして、尊厳死をし易くする、というものである。つまり、死期を早めるための政策である。
いったい、誰がこの問題を提起しているのか。
党員の多くが、そして、国民の多くが、この問題を、いまの政治のなかで、最も重要でかつ最も緊急な問題と考えているのか。そうではないだろう。
党幹部のアタマの中だけで思いついた問題ではないのか。国民の間から出てきた問題ではないだろう。そういう疑問がある。
ここに同党の基本的な欠陥、つまり、同党が国民の間に、広く根を張っていない、という欠陥があるように見える。
◇
さて、尊厳死とは何か。
それは、不格好でみっともない死の否定である。だからそれは、みっともない生の否定でもある。だが、みっともない生や死、というものがあるのだろうか。それは病者に対する尊厳の否定であり、病者の生存そのものの否定であり、病弱の末に死に到った死者に対する冒涜ではないのか。
筆者は、意識がなくなり、意識が回復する可能性がなくなったとき、それでも生存のための治療を要求するものではない。そうなるばあいには、事前に安楽死を選択することを言い残しておくだろう。
しかし、それに「尊厳」などという傲慢な形容をしてほしくない。人間としての尊厳の名において「尊厳死」を拒否する。
◇
筆者の友人が数年前に死去した。その時のことである。
友人の子息は、父つまり筆者の友人の尊厳死を拒否した。その時は、すでに友人は筆者との意思の疎通はできなかった。いわゆる植物人間と、周囲からいわれていた。
しかし、子息の考えは違っていた。父には意識があって、家族との間では喜怒哀楽を交換でき、その意味で意思疎通ができている。そういって治療を続けることを医師に要求した。
医師からは治療法がないといわれた。しかし、子息は、新しい治療法が開発される可能性は否定できないだろうから、それまで生存させて、新しい方法で治療することを要求した。そうして、父上の尊厳を最期まで守り通した。
別の友人と共に、筆者も、この要求を支持した。そして、この子息をいまも尊敬している。
◇
さて、同党の問題に戻ろう。
なぜ、尊厳死問題を最重要な政策にしているのか。他にベーシックインカムの導入など注目すべき政策を提唱している幹部がいる。そうした中で、第一の最重要政策に掲げているのは何故か。
ここで指摘したいのは、同党の政策決定の過程における不透明で不十分な議論である。だから、いきなり尊厳死といわれても、国民は戸惑うばかりである。
このことが、同党の支持率の低迷の最大の原因ではないか。マスコミ各社の世論調査によれば、同党の支持率は、軒並み1%を切っている。多くの国民は、同党の政策が分からないからである。
◇
同党は、綱領のなかで中道政党だといっている。だが、いまの政治の潮流のなかで、それが何を意味するのかが、さっぱり分からない。
いまの政治の潮流を、同党はどう認識しているのか。また、その潮流のなかで、同党がどの位置に立ち、何を主張しているのか。そこのところが分からない。
だから、同党の政策は、根の浅い枝葉末節の政策にしか見えない。これでは支持は広がらない。
◇
いまの政治の潮流は、経済的強者による格差の拡大と、それに対峙する経済的弱者との対立を中心にして、激しく流れている。そうして、この潮流を中心にして政治が大きく動いている。つまり、格差問題が、いまの政治の最重要問題ではないのか。
この認識が同党にない。だから、すべての国民を含めた地球的な共存、などと八方美人的な訳の分からぬことをいっている。これを克服しないかぎり、支持率は回復しないだろう。
同党には、志が高く、能力も高い人材が多い。この人たちが力を合わせて足場を固め、国民の中に入って丁寧に政策を説明し、安倍一強政治の打破を目指して、その中心的な役割を果たせば、多くの国民の大きな喝采を得られるだろう。支持率も上がるだろう。期待したい。
(2018.09.03)
(前回 強者に媚を売る自民党議員)
(前々回 日本のイスラエル化)
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