【JCA週報】農協・生協等の連携による鳥取県東部での持続可能な農業・農村再生への取り組み2019年5月27日
「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長 中家徹JA全中会長)が、各都道府県での協同組合間連携の事例や連携・SDGsの勉強会などの内容、そして協同組合研究誌「にじ」に掲載された内容紹介や抜粋などの情報を、協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、「農協・生協等の連携による鳥取県東部での持続可能な農業・農村再生への取り組み」です。
協同組合研究誌「にじ」2019年春号に寄稿いただいた、みんなの牧場の鎌谷 一也 代表取締役会長の論文冒頭部分を紹介します。
協同組合研究誌「にじ」2019年春号「特集:コミュニティ協同組合の可能性と課題」
農協・生協等の連携による鳥取県東部での持続可能な農業・農村再生への取り組み
鎌谷 一也 みんなの牧場 代表取締役会長
1. 問われる協同組合の存在意義
混迷する世界の社会経済の動向の中で、21 世紀はどういう世紀になるのであろうか。協同組合はどういう役割を果たすべきなのか。
グローバリズムが本流となっていく一方、ナショナリズム、保守主義、排外主義、いろいろな様相が強くなっている世界である。一体どこに問題があるのであろう。多様性といわれる時代で難しいのかもしれない。だが、対立軸を明確にし、対立か、あるいは止揚できる矛盾なのか。具体的な取り組み、とくに戦略的な方向を明確にしていかなければ、現実の課題はなかなか克服できないのかもしれない。
少なくとも、グローバリズムに対抗し、また国境を越えて協同できるのは協同組合、国際的協同組合主義とでもいう流れではないかと期待する。グローバリズムに対抗できる社会的共通資本派、自給圏構想による自主独立を唱える派、従来の相互扶助・協同を唱える派、農本主義を唱える派、それらをまとめる視点で、誰かに、理論武装をさせていただくことを願うものである。
日本の中では、農協系統組織が攻撃の的となっている。TPP での取り組みを領導してきた全中は事実上つぶされるのかもしれない。経済活動を行う経営体への攻撃もさることながら、農業・農村に立脚した協同組合思想の具現者、先導者としての立ち位置が急速に低下していることは、理論的に対峙することが困難になること、やがてグローバリズムの中で、1つの装置として組み込まれかねない(アフラックの郵貯のように)危険性をもつ。
経済活動と運動・組織理念の両軸が成立しなければ、組織の存在意義もなくなる。しっかりと存在意義を踏まえた事業・運動があってこそ、発展があり、そうでなければ消滅していくのが常だと思う。いよいよ、TPP、EPA などグローバリズムが支配する社会経済下において、農協・生協など協同組合陣営のあり方が問われ、また協同が期待されているのではなかろうか。
今回テーマとして、「農協・生協等の連携による鳥取県東部における持続可能な地域社会づくり」をいただいた。「地域社会づくり」とまではいかないものの、農村の再生、コミュニティへの取り組みとして、現場で取り組んできたいくつか実践を紹介したい。
1つは、鳥取県畜産農協と京都生協・鳥取県生協等生協グループとの産直活動での協同組合間協同の取り組みである。鳥取の産直活動は、牛乳が1970 年から約50年、産直牛肉が約40 年の歴史をもつが、この産直の歴史は省略し、21 世紀での取り組みに焦点を当てて紹介したい。2つめは、2008年から始めた広域農業生産法人の組織化である。これは小さな農協づくりとして、地域の農業の再生として取り組んでいる。3つめは、同じく同エリアで取り組んでいる共生の里づくりである。地域の団体による活性化だけでなく、連携組織として生協を含めた地域活性化の取り組みであり、食と農の再生の1つの手段として取り組んでいる。最後は、酪農民だけでなく、農協、生協、地域の企業を含めて出資し、10 年20 年後の畜産や食料確保に備えるという「みんなの牧場」の取り組みである。
(以下 略)
※ 論文そのものは、是非、「にじ」本冊でお読みください。
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