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【熊野孝文・米マーケット情報】「かめおとめ」と「白雪姫」というコメ2019年9月24日

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【(株)米穀新聞社記者・熊野孝文】

 「検査してみたら大体『かめおとめ』だったね」と千葉の集荷業者。何のことかと聞き返すと、ふさおとめがカメムシ害による着色粒で「かめおとめ」になっているとのこと。東京の大手業務用小売はふさおとめを仕入れて「試験搗精したら2%歩留りが落ちた」という。着色混入で2%も歩留まりが落ちることなど考えづらいのだが、関東の早期米に着色粒混入が多いことはアチコチから聞こえて来る。

 続いて刈り取りが始まったコシヒカリ。茨城の集荷業者は自社に持ち込まれるコシヒカリがあまりにもシラタ(乳白米)が多いのでビックリして、他の集荷業者に聞いてみると地元以外でも埼玉ではほとんどが等級落ちになってしまったというところもあったという。

 新潟からコシヒカリのサンプルを受け取った仲介業者はもっとびっくりした。なんとそのコメは「真っ白」だったという。この業者、急いで新潟の集荷業者等に問い合わせたところ「1等に格付けされるのは1割もないのでは」という返事だった。農水省の8月15日現在の作況では新潟は「やや良」のはずでは? どうなっているのか新潟の集荷団体に問い合わせると「集荷が始まったばかりで、品位について今お答えすることは出来ない」との返事。県に聞いてみると「台風10号のフェーン現象で40℃ぐらいの高温になった日があったのですが、それが原因かどうか詳しいことは調査してみないと」と言うだけである。農水省の稲の高温障害の専門家に聞いても明快な答えが得られなかった。

 以前は農水省の検査課では、部内資料として全国各産地の初検査予定や、初検査した際の等級、格落ちした際の原因まで記した資料を作っていたが、検査登録業務等を自治体が担うようになり検査班に名称を変えてからそうした部内資料は全く作っておらず、その年のコメの品位を知りたかったら実際に検査している各産地の登録機関に直接問い合わせるしかない。情報媒体はそれでも良いかもしれないが、実際に新米を仕入れて量販店や外食店などに精米を販売しなければならない流通業者はそんな悠長なことは言っていられない。

 先週末の米穀業者の集まりでも元年産の品質低下が最大の話題になった。千葉では籾摺り途中で停電になり、乾燥機がストップ、ヤケ米になってしまう恐れがあるが、未だに復旧されていないところがあるとされた他、横浜の大手小売は白米が水に濡れ破棄せざるを得なくなったと言った台風15号の被害から始まり、茨城でカメムシ害が発生した原因は長雨で薬剤が効かなくなったためで中米は着色だらけで真っ黒。長岡では検査した50袋のコシヒカリのうちシラタ混入度合いが高く1等は1袋だけだった。比較的良いのは佐渡ぐらいではないかという見方もあった。会津も新潟と同じようにシラタが多い。宮城もシラタで格落ちという情報が紹介された。

 もちろんそうした品位が低下している産地ばかりではないのだが、なんといっても量販店での売れ筋商品の新潟コシヒカリの品質低下は大問題で、こうした情報はいち早く伝わるためか、穏当な価格でスタートした競合するゆめぴりかの売り物が引っ込んでしまった他、中米もカメ入りが9500円、カメ抜きが1万円いう見通しまで出るほど品位の低下が相場に与える影響は大きい。

 玄米卸の中には複数の産地業者から2等のサンプルを取り寄せてそれぞれ相対で価格を決めるというところもあるが、産地業者としては農協系統が1、2等の格差を300円に決めて販売するという事もあって簡単に2等の値引き要求を受け入れるわけにはいかない。

 ではどうするのか? 着色粒は色選を通せば抜けるが、2回も3回もかけると歩留まりが落ちてしまうので、搗精段階でどの程度白米に残るのかチェックしながら目立たないようにするしかないが、量販店や生協に限らず、外食企業も着色粒混入度合いの許容範囲の値は非常に厳しく、目立たないようにする程度では済まない。

 次の手は販売段階で工夫するしかない。シラタ混入の白米を炊飯してみて、炊飯時にはちゃんとしたご飯になることを自ら示して外食業者等に納得してもらう。店頭精米で販売する場合はシラタ米を「白雪姫」もしくは「ホワイトライス」という名前を付けて「高温障害で規格外になったお米です。水加減に気を付けて炊飯していただくと普通のご飯と変わりないようにいただけます」という但し書きでも書いたポップを付けて販売するしかない。


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(株)米穀新聞社記者・熊野孝文氏のコラム【米マーケット情報】

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