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共有資源的な種苗の性質をどう考慮するか【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】2020年9月3日

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【鈴木宣弘 東京大学教授】

各地域の伝統的な種は地域農家と地域全体にとって地域の食文化とも結びついた一種の共有資源であり、個々の所有権は馴染まない。何千年もの間、皆で育て改良し、種を交換して、引き継いできたものである。それには、莫大なコストもかかっているといえる。そうやって皆で引き継いできた種を企業が勝手に素材にして品種改良して登録して独占的に儲けるのは、「ただ乗り」して利益だけ得る行為である。

だから、農家が種苗を自家増殖したり交換したりするのは、種苗の共有資源、共有財産的側面を考慮すると、自然な行為であり、守られるべき権利という側面がある。諸外国においても、米国では特許法で特許が取られている品種を除き、種苗法では自家増殖は禁止されていない。EUでは飼料作物、穀類、ばれいしょ、油糧及ひ繊維作物は自家増殖禁止の例外に指定されている。小規模農家は許諾料が免除される。オーストラリアは原則自家増殖可能で、育成者が契約で自家増殖を制限できる(印鑰智哉氏、久保田裕子氏)。

もちろん、育種の努力が阻害されないように、よい育種が進めば、それを公共的に支援して、育種家の利益も確保し、使う農家にも適正な価格で普及できるよう、育種の努力と使う農家の双方を「公共」が支えるべきではなかろうか。つまり、共有財産たる地域の種を、育種のインセンティブを削ぐことなく、育種家、種取り農家、栽培農家を公共的に支援し、一部企業のみの儲けの道具にされないように歯止めをかけながら、地域全体の持続的発展につなげるための仕組み(川田龍平議員提案の在来種<ローカルフード>保全法など)の検討が必要ではないだろうか。

そもそも、今回の種苗法改定の目的の一つは、すでに廃止された種子法と新たに制定された農業競争力強化支援法によって公共育種事業の民間への移行を進めたうえで、種苗法改定で、育種家の権限を強め、民間育種事業の拡大を支援することとされている。育種家の利益を増やさないと育種が進まないというが、一方で、農家の負担は増えないと説明されている。通常は、「育種家の利益増大=農家負担の増大」となるので、農家負担を増やさずに育種家の利益を増やすのは困難と思われる。つまり、種苗法の改定は「農家負担の増大」につながる。それを解決するのが、まさに、上記のような公共的枠組みだといえよう。

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