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(203)ポテトチップスと選択肢【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2020年10月23日

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当たり前になりすぎると大事なことを誤解することがあります。先日、大学でポテトチップスの特徴は何か、という話をしました。今週はポテトチップスについて少し考えてみたいと思います。

ポテトチップスの起源はどうも米国らしい。Wikipediaには詳細な説明があるので、ご関心ある方はそちらをご参照頂きたい。小学生の頃からポテトチップスが好きだった筆者にはポテトチップスに対する複雑な感情が3つある。

第1は、1970~80年代当時のポテトチップスの内容量は現在より多かったということだ。いろいろ調べてみるとどうもこの感覚は正しい。よく売られていた小型の袋のものとは別に、少し大きな袋でシンプルな塩味のものもあった気がする(だけかもしれない)が、最近はどうもサイズが小さく感じる。何事もコンパクトにしていくことは良いが、価格が同じで内容量が少なくなると、企業の事情はわかるが正直寂しい。

第2は、米国に初めて行った1980年代当時、現地のスーパーマーケットで見たポテトチップスの大きさよりも種類の少なさに驚いたことである。袋のサイズは恐らく日本よりはるかに大きいものとはるかに小さいものの2種類が基本である。ベーグルやハンバーガーなどと一緒に軽くつまむ小袋と、チップスそのものを十分に味わう大袋のものである。比較的日本人に食べやすい中くらいのものもあったが見つけにくかった。出張などでホテルに宿泊した際は、自動販売機で売られている小袋を購入してよく食べたものだ。

ストレスは味の種類が本当に限られていた事である。塩(ソルト)&ビネガー、ガーリック、バーベキュー、サワークリーム・オニオンくらいではなかったか。シンプルと言えばシンプルだが、すぐに飽きてしまう。

一方、日本ではどうか。1962年には既に我が国で最初の「湖池屋ポテトチップス のり塩」が発売され、1967年には量産化に成功している。単なる「塩」ではなく「のり塩」としたところにメーカーの気合いと研究の積み重ねが感じられる。その後の商品ラインナップ展開の豊富さはとてつもない。「のり塩」を基本としつつも、「うす塩」「コンソメ」「ガーリック」「のり醤油」と発展している。筆者は今でもポテトチップスに「コンソメ」を組み合わせた着想は100年に1度の大ヒットであったと考えている

その後、カルビーなど他社との競争を経て、日本のポテトチップスの種類は大きく拡大した。形状だけでも、単純に薄くスライスしたものから厚いもの、堅いもの、ギザギザ状のもの、そしてサイズが統一され、筒状のボックスに入った成形ポテトチップスまで多岐にわたる(スティック状の製品まで入れれば数はさらに増える)。

味は「のり塩」や「コンソメ」だけでなく、「ホットチリ」「スパイシー」「わさび」、さらに「ビネガー」「梅」「ラー油」「サワークリーム・オニオン」「シーフードグリル」「ショコラ」「濃厚バター」などこちらも、極めて豊富である。

当たり前だが、原材料はじゃがいもである。この単純な原材料から、「ポテトチップス」の基本を押さえつつ、いかに多くの同位体のような製品を開発して世の中に出してきたか。この商品展開はメーカーの努力以外の何物でもないし、良くも悪くも現代日本の商品開発の特徴かもしれない。

最終製品をバラエティに富んだものにする競争とは、フードシステムの最終段階に特化した競争であり、大本の生産地と生産者の状況が盤石でこそ成立するという大前提に立脚している。この問題は、数年前の台風被害により北海道の産地が被害を受けた際、思わぬ形で顕在化したことは多くの人々の記憶に新しい。

製品に無数の選択肢がある状態は、常に「当たり前」ではないということだ。欧米のビジネスを単純に崇めると、「日本は選択肢が少なく、海外は多い」と誤解をする時があるが、実はポテトチップスの例に漏れず、日本の方が選択肢は遥かに多いという例は意外と多い。ただ、それが余りにも「当たり前」になっており、わからなくなっているだけではないか。恐らくこれは農業・食品産業に限らないであろう。

* * *

来年あたり、研究室の学生さんの中から真剣にポテトチップスの研究に取り組んでくれる人が出てくれると面白いと、今日もポテトチップスをつまみながら考えていますが、こればかりは個人個人の興味がどのくらいあるかですので、あくまでも自然体です。



本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。
三石誠司・宮城大学教授のコラム【グローバルとローカル:世界は今】

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