穀物相場変動で米価もターニングポイントか?【熊野孝文・米マーケット情報】2022年3月22日
先週末Web上で開催された米穀業者の情報交換会で、主催者から参加者に対して「4年産米の動向について価格も含めてどう見ているのか述べて欲しい」という要請があった。この会の参加者はコメの集荷業者から玄米・白米の卸、大手小売など川上から川中、川下まで業態が広いので、それぞれの立場から興味深い見方が述べられた。コメの先行きの動向に関心を持っているのはこうした当業者ばかりでなく、金融業界関係者や一般消費者の間でも関心が高まっている。

米穀業者のWeb会議の前日に証券業界関係者と懇親する機会があった。その席で穀物関連の投資信託に大きな資金が流れ込んでいるという話を聞かされた。そうした動きが出ている要因は、大豆、小麦、トウモロコシが世界的に値上がりしており、証券会社が販売している穀物関連の投資信託が人気になっているとのことで、コメの動向について聞かれた。国内のコメの動向については、世界的な穀物相場の大きな変動には関連なく、静かなものだと言うしかなかったが、1点だけ上場しているコメ卸の株価だけは大きく動いているという事だけは付け加えた。早速、スマホで株価の動向をチェックし始めた金融業界関係者は開口一番「こんなに高いんですか」と驚いていた。なにせその会社の株価はコロナ禍発生直後から動意づき、それに加えトンガ噴火で急伸、一時は1株4000円近くまで値上がりしたのだから驚くのも無理はない。ざっというと安値時から2.5倍の価格にまで上伸している。
世界的な穀物相場の高騰からコメ卸の株が連想買いされているという事なのだろうが、それが的外れな連想買いとは言えない状況になっているという事例もある。それは卸団体の事務局に一般消費者から「お米は買って置いたほうが良いのでしょうか?」という問い合わせが来ているとのことで、こうした事例はめったにない。連日報道されるウクライナ情勢でいやが上でも穀物の値上がりを気にかけている人が増えているという事なのだろう。
冒頭の米穀業者の情報交換会でも直近の動きとして、連休明けの注文が外食店等から入り始めたという動きや都内では学校給食用としてパンが値上がりしたことからご飯食を週3回に増やすという学校もあり、こうしたケースは初めてだという例も紹介されたほか、輸出を手掛けている業者からは輸出量が増え始めたという情報も寄せられ、全体としてターニングポイントに来ているという印象を受けた。情報交換会の後に開催された取引会でも買い声が先行して成約が進んだ。
4年産については、現在の相場水準より値下がりすると予想している業者はおらず、横ばいから上値になる見ている業者が多かった。特に現在安値に落ち込んでいる雑銘柄については3年産米も今後これ以上の安値はなく、4年産米もこの水準が下値の底になるという見方もあった。ただし、これには当然のこととして4年産の作付動向が目下の最大の関心事で、関東でも早い生産者は今月27日に田植えを行う生産者もいると情報が紹介され、特に飼料用米に話題が集中した。主食用米からの転作作物として販売先に苦労することなく取り組めるのが飼料用米で、大規模生産者は主食用米を作付しても収益が確保できないという予想からか確実に所得を確保できる飼料用米の作付を増やすと言った動きがあるほか、自社でもコメの作付を行っている集荷業者は中間管理機構から農地の紹介があった際、飼料用米の作付を行うとの意向を示していた。ただ、国が飼料用米の助成金支給について4年産から複数年契約加算を半額にして、次年度から無くす方針であることからこの問題について関心が高かった。
こうしたこともあって転作作物としてどのような作物が適しているのかという点でもコメ作から大規模にミニトマトの栽培に切り替え、そのミニトマトを直売しているところでは人気になっているという例やサツマイモへ転作、さらにはゴマへの転作などコメ以外の作物の動向にも関心が集まった。
取引会では関東のあきたこまちがコシヒカリより高値で買われた他、もち米も成約するなど買い気が強かった一方、売り物として元年産で各種の産地銘柄が出るなど以前在庫処分を急いでいるところもあり、上げ相場になると言い切れるほど単純な動きではない。業務用米取扱業者はコロナ明けの需要に期待している一方で量販店向けが主力の業者はコメ以外の食品は来月からの値上がりが既定路線のようになっているもののコメは競合店の安値販売が活発で値上げ交渉が出来る状況ではないとしていた。
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