暇つぶしとパチンコ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第189回2022年3月24日
2年前の1月、クルーズ船での感染から始まったわが国のコロナの流行、いまだに治まらす、ワクチンを接種しているのに、さらに増えている始末だ。とくに東京をはじめとする人口集中圏では緊急事態宣言騒ぎ、巨大都市の繁華街は過疎地帯になったようだった。
だからといっていわゆる地方で人が増えたわけではもちろんない。戦中のように「疎開」させられたわけではないのだから。そのまま密集して閉じこもっているように、「密閉」状態でいるように言われているだけだからである。地方でも自粛=「密閉」が推奨されている。
「疎開」・「密閉」、両方を体験することになる私たち高齢者世代、長生きすればいろいろあるものだ。「密閉」させられる高齢者、どうやって時間を過ごすか(もちろん子どももそうだが)、ともかく早く日常に戻ってもらいたいものだ。
高齢者=退職者、そのほとんどは時間はあれども金はなし、若干の金はあってもその先(といっても先は見えているのだが)が心配で使えず、ましてや遊びなどに使えない。スポーツなどをして金をかけずに楽しめばいい。しかし身体は言うことを聞かなくなっている。歩くのも難しくなっているのだ。それならドライブすればいい、といっても高齢による事故が心配だ。免許返上で利用したくとも利用できなくなっている人もいる。わが家もそうだ、家内は「もっとも必要な時期に車がない」とぼやく、歩いて買い物に行くのも難しく、ましてや重い荷物を持って帰るのは容易ではないのである。あるのは時間だけだ。もてあますくらいにある。その時間つぶしにもっともいいのはパチンコなどのゲームだ。
私も時間つぶしにパチンコをしたことがある、今から50年も前のころの話だが。仕事柄農村部に出かける。途中駅でのローカル線の乗り換え、ローカル線からバスへの乗り換えが必要となることも多い。そのときの乗り継ぎの時間がぴったり合えばいいが、なかなかそうはいかない。1時間とか2時間待たされることもある。
この時間をどうつぶすか、待合室で本を読めばいいが、それは列車のなか、特に外の景色を眺められない夜の時間つぶしにとっておきたい。駅前を散歩すればいいといっても、数分も歩けば人家はなくなり、見るところもない。それなら食堂にでも入ってちょっと一杯も考えられるが、昼日中そうするわけにもいかない。やむを得ず駅のベンチでぼんやり座っていることになる。そういうときにはパチンコがいい、いい暇つぶしになると先輩研究者が教えてくれた。
なるほど、それはいいかもしれない、早速やってみた。
あのころ(戦後昭和、車社会以前の時代)はちょっとした駅の前にはパチンコ屋が一軒はあったものだった。土間に10~20台のパチンコが据え付けられている。椅子などはない。今のように自動ではなく、左手で台の穴に一つずつ玉を入れ、右手でレバーを動かして玉をはじき、それが穴に吸われていくのを見ながら一発一発打つ。だから、100円=50玉(当時)も買えばけっこう時間がつぶせる。もちろんそれでもうけるなどということを考えているわけではない。大当たりするにこしたことはないが、まずめったになく、期待はしていない。もちろん何個かたまに入る。だから時間が潰せるのだが。結局玉がなくなって店を出る。私たちと同じように何人かが立ち上がり、駅舎に戻る。すぐに改札が始まる。ホームに入る。こんなことが?回かあった。もちろん一度も儲かったことはなかった。
ちょっとした駅の前にはこうしたパチンコ屋が必ずあった。仙台などそれなりの町の駅前には大きなパチンコ屋が何軒か並んでおり、『軍艦マーチ』がスピーカーから流され、ガシャガシャというパチンコの大きな音が店から聞こえてきた。それに誘われるように客が入った。汽車の時間を待つ旅行客、通勤客もかなりいた(次回に続く)。
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