【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】規制改革推進会議の解体が不可欠2022年12月8日
第193回国会 農林水産委員会 第7号(平成29年4月6日(木曜日))
農業競争力強化支援法案に対する参考人質疑における問題提起は、今もそのまま当てはまる。以下、前回に引き続いて、鈴木宣弘の発言の一部を紹介する。
最後に、一連の政策決定プロセスが異常であることを言わざるを得ません。
法的位置づけもない諮問機関に、利害の一致する仲間、しかも、この人たちはアメリカの経済界とも密接につながっております。それだけを集めて、国の方向性が私的に決められ、誰も文句が言えない、とめられないというのは異常事態です。与党の国会議員になるより、規制改革推進会議メンバーに選んでもらった方が政策が決められると与党議員は嘆いておりました。(注)孤軍奮闘で反論してくれている委員もおりますが、多勢に無勢の状態です。
日本の対米外交は、対日年次改革要望書等に書いてあることに次々順番に応えていくだけの、その執行機関が例えば規制改革推進会議ですから、次に何が起こるかは予見できます。
アメリカからは、アメリカの商社が全農を買収したいから株式会社化してくださいとか、共済と保険は対等な競争条件にしてくださいと強く求めています。郵貯マネーがめどが立ったから、必ずJAマネーを握るまでこれは終わりません。
だから、農協改革の目的も、一連の法案の目的も、農業所得の向上であるはずはありません。信用、共済マネーを奪う、共販、共同購入を崩す、JAと既存農家が潰れたらそこに参入する、規制改革推進会議の答申はそのとおりになっております。
本法も、それを受けたものになっております。
もちろん、農家の不満に徹底的に改善策を出す農協組織の真の意味での自己改革は不可欠ですけれども、一部の利益のために、日本の食と農、関連組織、所管官庁までもなし崩し的に息の根をとめられてしまうという方向性は、これは終わりの始まりです。
そういう意味で、規制改革推進会議は解散すべきであると思います。
二〇〇八年に、前の自公政権のときに結成された農政改革特命チーム会合というのがありましたが、これはさまざまな立場の意見が総合できる会議でした。これが食料・農業・農村審議会としっかり連携し、欧米のように、自分たちの命、環境、地域、国土を守る食料、農業を、国民それぞれがどう応分の負担をしていくかというビジョンの練り直しをすべきであります。
その特命会合では、現場の声に応えて所得のセーフティーネットを再構築する具体的提案の選択肢を示しました。その一つが、戸別所得補償制度の具体像として採用されたわけです。
ですから、国民の食料を守るために必要な政策は、与野党を問わず、現場の農家や消費者、国民の声をしっかり踏まえて形成されるものであり、三だけ主義の、一部のための政策は、多くの国民にとって本意ではない。
与野党を問わず、国会議員も、所管官庁にとっても、国民の食料を守るために必死に頑張る気持ちは同じはずです。なのに、今の一部の三だけ主義の利益を念頭に置いた、国民に有害な政策がまかり通って、誰もとめられない。この流れに終止符を打って、三方よしの社会を取り戻す法案をつくるべきであります。
本法は、生産資材、食品流通にかかわる事業の再編を促しておりますが、事態の正常化のためには、それよりも政界の再編、結集の方が効果的ではないかとも思われます。
以上で終わります。(拍手)
重要な記事
最新の記事
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(3)病気や環境幅広く クリニック西日本分室 小川哲郎さん2025年9月18日
-
【石破首相退陣に思う】米増産は評価 国のテコ入れで農業守れ 参政党代表 神谷宗幣参議院議員2025年9月18日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】協同組合は生産者と消費者と国民全体を守る~農協人は原点に立ち返って踏ん張ろう2025年9月18日
-
「ひとめぼれ」3万1000円に 全農みやぎが追加払い オファーに応え集荷するため2025年9月18日
-
アケビの皮・間引き野菜・オカヒジキ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第356回2025年9月18日
-
石川佳純の卓球教室「47都道府県サンクスツアー」三重県で開催 JA全農2025年9月18日
-
西郷倉庫で25年産米入庫始まる JA鶴岡2025年9月18日
-
日本初・民間主導の再突入衛星「あおば」打ち上げ事業を支援 JA三井リース2025年9月18日
-
ドトールコーヒー監修アイスバー「ドトール キャラメルカフェラテ」新発売 協同乳業2025年9月18日
-
「らくのうプチマルシェ」28日に新宿で開催 全酪連2025年9月18日
-
埼玉県「スマート農業技術実演・展示会」参加者を募集2025年9月18日
-
「AGRI WEEK in F VILLAGE 2025」に協賛 食と農業を学ぶ秋の祭典 クボタ2025年9月18日
-
農家向け生成AI活用支援サービス「農業AI顧問」提供開始 農情人2025年9月18日
-
段ボール、堆肥、苗で不耕起栽培「ノーディグ菜園」を普及 日本ノーディグ協会2025年9月18日
-
深作農園「日本でいちばん大切にしたい会社」で「審査委員会特別賞」受賞2025年9月18日
-
果実のフードロス削減と農家支援「キリン 氷結mottainai キウイのたまご」セブン‐イレブン限定で新発売2025年9月18日
-
グローバル・インフラ・マネジメントからシリーズB資金調達 AGRIST2025年9月18日
-
利用者が講師に オンラインで「手前みそお披露目会」開催 パルシステム東京2025年9月18日
-
福島県に「コメリハード&グリーン船引店」10月1日に新規開店2025年9月18日
-
鳥インフル 米モンタナ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年9月18日