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小泉新農相への期待と懸念【森島 賢・正義派の農政論】2025年5月26日

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 小泉進次郎氏が新しい農相に就任した。
 就任の挨拶で、コメ担当大臣と自称した。小泉農相の米価高騰問題を解決する熱い意気込みが伝わった。これは、前日に石破 茂首相の、米価を早期に3、000円台に下げる、と明言したことを受けて、それを実現する決意を表明したものだろう。
 その後、小泉農相は、さらに意欲的な目標として、6月上旬には、2、000円に下げることを公言した。先々週の平均米価の4、268円の半値にすることになる。正気の沙汰か、と疑う人は多いだろう。だが、やれば出来るだろう。これを中長期的な目標にするようだ。
 政治の市場への直接介入である。暴力的介入と言っていい。コメ離れを防ぐためだから、それでいいのだ。
                 ◇
 小泉農相は、この考えの根底にあるものを、同時に語っている。それは、
1. 消費者のコメ離れを防ぐ
2. 生産者の農業離れを防ぐ
 ここには、主食のコメは国内自給率を上げて、外国からの輸入に依存しない、そうして、食糧安保を強固なものにする、という断固とした政治哲学があるように思える。
                 ◇
 しかし、その一方で懸念がある。3つの点を指摘しよう。
 1つ目は、協同組合に対する不信である。
 2つ目は、コメの輸出に対する認識不足である。
 3つ目は、備蓄米が払底した時にどうするか、である。

 1つ目は、農協など協同組合に対する不信である。
 協同組合は、先進国ではどこでも法律で認められている。どの国でも、協同組合に対する独占禁止法の適用除外を法制化している。
 これは、大資本が小資本や小規模業者や労働者を、直接的に、あるいは、間接的に搾取することの不公正を是正するためである。
 この考えは、市場原理主義とは相容れない。市場原理主義は、こうした搾取を容認している。それだけでない。この搾取を助長することが、公正なことだ、と考えている。
 だから、協同組合は市場原理主義政治に抵抗する組織だ、と言っていい。
 協同組合を否定する市場原理主義では、農協を否定する市場原理主義農政では、農業者の農業離れを防ぐことは出来ないだろう。
 この点についての、小泉農相の政治哲学が見えてこない。
 農協を批判するのはいい。だが、その批判は、協同組合を否認するための批判なのか。それとも、協同組合をより良くするための批判なのか。
 農協には、組織のどこでも陥りやすい官僚的不効率がある。それを所管する農相が批判するのは、大いに歓迎する。しかし、市場原理主義に基づく、農協潰しを目指す批判なら歓迎しない。
 農協の組合員数は1、000万人である。その家族など、組合員数の数倍の人たち、また生協など協同組合の組合員、家族たちは、全員が協同組合を信頼している。信頼しない人は、いつでも脱退できる。協同組合に関わる人の全員は、小泉農相の協同組合についての政治哲学を傾聴したいと思っている。

 2つ目は、コメの輸出である。
 小泉農相は、減反を廃止してコメを増産する、という。そして、平時が続きコメが余ったら輸出する、という。
 これは、32年前に「攻めの農政」と名付けて、食糧安保の主柱にしてきた政策である。威勢はいいのだが、32年間、失敗を重ね続けてきた政策である。
 失敗の原因は何か。
 下の図が、その全てを表している。

小泉新農相への期待と懸念【森島 賢・正義派の農政論】

 この表は、資料の https://vietfood.org.vn/gia-gao-xuat-khau-cua-cac-nuoc-tren-the-gioi-ngay-23-05-2025/  のうちの、ヴェトナムとタイを抜粋したものである。
 ここから分かることは、
1. ベトナムやタイのコメの輸出価格は平均すると、5kg当たり276円である。これはベトナムやタイの国内米価とみていい。一方、先々週の日本の平均米価は4、268円である。つまり15倍である。これでも輸出できる、というのが、コメ輸出論という空論である。
2. また、砕米が5%混入していても、25%混入していても、米価はそれほど変わらない。何年産かも分からないし、産地もわからない。つまり、ヴェトナムやタイの人たちは、それらを気にしない。砕米の混入率だけを気にしている。このように、コメに対する味覚は、日本人の味覚と全く違っている。
 以上のように、日本のコメはヴェトナムやタイの人たちからみて、それほど旨くもないし、安くもない。それどころか、とんでもなく高い。それでも日本のコメは輸出できる、というのがコメ輸出論である。事実に基づかない、頭の中にあるだけの幻想である。

 3つ目は、備蓄米が払底した場合である。
 いま、在庫米は、60万トンしかない。今日30万トン放出する予定だから、明日以後は30万トンしか無い。これが無くなってしまえば、もう市場に供給できない。そうなれば、外国から輸入するしかない。このことを、食糧安保を重視する国民に納得してもらわねばならない。
 これが至難の業であることは、下の図が示している。

小泉新農相への期待と懸念【森島 賢・正義派の農政論】

 この図は、新聞の世論調査(朝日HP、2025.05.18)によるもので、「輸入するコメの量を増やさないほうがよい」と答えた人の数は、67%という圧倒的な大多数になっている。
 コメが国内に無いからといって、また、緊急避難だからといって、外国からコメを輸入することは、農業者の農業離れを加速し、食糧自給率の深刻な低下を招き、国民の食糧安保に対する危惧を深めることになる。
 それを解消するには、政府のコメ政策の、根本的な、そして恒久的な対策、つまり、法制化が必要である。
 最後に強調しておこう。生産者米価を半値にしたままでは、農業者の農業離れは防げない。急速に進む。
 二重米価制の出番である。

(2025.05.26)

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