「総力結集して、巨大地震に克つ」 日本共済協会がセミナー2015年11月25日
JA共済連や全労済など協同組合共済を行う組織の連携団体である(一社)日本共済協会(会長:市村幸太郎JA共済連会長)は、11月24日、都内で、約220名が参加して「総力を結集して、巨大地震に克つ」をテーマにセミナーを開催した。
同協会主催のこのセミナーは今回で30回目となる。今回は、福和伸夫 名古屋大学減災連携研究センター長・教授が、南海トラフと大地震・首都圏直下地震など「迫り来る自然災害」にどう対応したら良いのかについて講演した。
福和教授は、貞観地震(869年)前後の日本列島における火山噴火の事例をあげながら、昨年の西之島マグマ水蒸気噴火、同8月20日の広島・丹波豪雨(死者74人)、長野県神城断層地震(11月)と、今年5月29日の口之永良部島マグマ水蒸気噴火そして5月30日の小笠原西方沖地震(マグニチュード8.1)、その後の箱根山噴火や桜島レベル4、さらに9月の関東・東北豪雨というこの1年の自然災害の動きが類似していること。
そして、元禄関東地震(1703年)の死者は340人だったが、関東大震災(1923年)では7万人にも及んだなどの具体的な事例をいくつもあげ、被害に差があるのは、人口が都市に集中してきたことと、埋め立てなどによる地盤の弱いところに高層建築を建てたことなどにあるとした。最近は集合住宅も高層化しているが、阪神淡路大震災のときに、神戸では中高層建物の被害が多かったと指摘する。
東京や大阪など大都市では、軟弱地盤へ高層ビル群を建てており、今後予想されている南海トラフと大地震や首都圏直下型地震でも大きな被害が発生する可能性が高いが、それは保険や共済でカバーできる範囲を超えるだろうとも指摘した。
また、こうした大きな災害では、地域外からの支援は限られているので「自分たちの力だけで災害対策ができるようにし、自分で生き残れるようにする必要がある」とも述べた。
そのうえで、大都市中心の社会から、地方を重視した社会にすることが、大災害の被害を減災することになるので、そのためには「東京的でもない、大阪的でもない、地方を大事にする『三男坊のJAPANへの愛』へ価値観を変える」ことを提唱。具体的には「3×J 自由・地道・地元(愛)」と「3×A 頭・汗・愛(嬌・情・着)」「3×P Player・Plan・Product」「3×An Antenna・Analysis・Answer」ではないかと結んだ。
福和教授の話は、具体的な事例を使いながら、大災害や防災についてのこれまでの常識が必ずしも適切ではないことを鋭く指摘したり、首都圏への一極集中の危険性や、日本社会は改めて地方へ目を向けるべきことなどを指摘し、大災害に対する減災・防災だけではなく、これからの社会の在り方について非常に示唆に富んだものだった。
(写真)講演する福和教授、挨拶する市村会長
(関連記事)
・順調な上期仮決算を承認-全国農林漁業団体共済会 (15.11.13)
・利用者満足につながる共済事務を 「共済事務インストラクター全国交流集会」 (15.11.06)
・「巨大地震にいかに備えるか」テーマにセミナー 日本共済協会 (15.10.05)
・九州地区業務センター10月に開所 JA共済連 (15.09.16)
・自動車共済を一本化 わかりやすい仕組みに JA共済連 (15.08.25)
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】野菜類、花き類、豆類にハスモンヨトウ 県内全域で多発のおそれ 兵庫県2025年9月12日
-
【注意報】果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 佐賀県2025年9月12日
-
ドローン映像解析とロボットトラクタで実証実験 労働時間削減と効率化を確認 JA帯広かわにし2025年9月12日
-
スマート農業の実践と課題を共有 音更町で研修会に150名参加2025年9月12日
-
【地域を診る】個性を生かした地域づくり 長野県栄村・高橋彦芳元村長の実践から学ぶ 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年9月12日
-
(452)「決定疲れ」の中での選択【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年9月12日
-
秋の味覚「やまが和栗」出荷開始 JA鹿本2025年9月12日
-
「令和7年台風第15号」農業経営収入保険の支払い期限を延長 NOSAI全国連2025年9月12日
-
成長軌道の豆乳市場「豆乳の日」前に説明会を実施 日本豆乳協会2025年9月12日
-
スマート農園を社会実装「品川ソーシャルイノベーションアクセラレーター」に採択 OYASAI2025年9月12日
-
ご当地チューハイ「寶CRAFT」<大阪泉北レモン>新発売 宝酒造2025年9月12日
-
「卵フェスin池袋2025」食べ放題チケット最終販売開始 日本たまごかけごはん研究所2025年9月12日
-
「日本酒イベントカレンダー 2025年9月版」発表 日本酒造組合中央会2025年9月12日
-
北海道檜山特産品マルシェ「ひやマルシェ」開催2025年9月12日
-
農福連携 食品産業向け展示商談会「ノウフク見本市2025in大阪」開催2025年9月12日
-
次世代モデルの人工光型植物工場「福井美浜工場」竣工 椿本チエイン2025年9月12日
-
福井市の砂丘地でオリーブ栽培 就農体験の参加者募集中2025年9月12日
-
国産原料で食品添加物不使用「自然派Style」からコチュジャンが新登場2025年9月12日
-
玄米60kgを3万円で買い取り 米生産農家支援事業 茨城県境町2025年9月12日
-
魚沼産コシヒカリを使った「日本酒の棚田オーナー制度」開始 津南醸造2025年9月12日